複雑・ファジー小説

Re: 交錯する世界 第一幕「START」(オリキャラ募集中) ( No.68 )
日時: 2011/09/04 18:47
名前: Rlcssha (ID: fiow63Ig)

幼い頃に見たあの夢を、もう一度見たいと思ったことはあった。

あの薄暗い場所はどこなのか。

両側に見えたものはなんなのか。

そして、その先はどうなっているのか…と。

その願いもとどかず、今まで再び見ることは出来なかった。

そして、その夢を見たことも、忘れようとしていた。




第四話「記憶のその先に」




目を開けると、そこはあの、薄暗い場所だった。
両側に別の世界がある。

これは…夢なのだろうか?

…そうだ。おれは突然、誰かになぐられて…。

だが痛みは感じない。だとすると、これは夢だろう。
きっと、あの世界を見ようと、手を伸ばせば覚める。
なら早く覚めたほうがいい。
隆樹が、おれがどうなったのか、見たい。
…けど。

今までとは少し違う。…見える。手の感覚もある。
そして、今までおぼろげだった薄暗い場所の全体が見えている。

もしかしたら、今度はいけるんじゃないか?

いや、そんなことをしたら本当に現実逃避になってしまう。
なら…早く戻らないと…

おれは元の世界の方に手を伸ばした。が、あと少しというところでやめた。
今までの二回は、確か、元とは逆の世界の方に手を伸ばして覚めたんだ。今度だって—。

おれ別の世界の方に手を伸ばした—

錬「あれ?」

手を伸ばせない。何か、壁みたいなものがあるようだ。それ自体は、透明で見えない。
そして、しゃべれることに今気づいた。

よく調べると、上も、下も、右も、左も、もちろん前後も、壁や床のようなものがあった。全部透明だ。

錬「ちょっと…出せよ!!ここから出せよ!!」

誰もいるわけがなにのに、叫んでみた。
拳で割ろうとしても、割れない。

しばらくやっても何の効果もなく、ただの体力の無駄遣いだった。

ぐったりと見えない壁に寄りかかり、ふと横を見る。

別の世界が見える方だ。
なぜ別と言い切れるかというと、
片方は大雨で、もう片方が晴れている。そして、今元のほうは雨が降っているはず。それだけだった。


しばらく、その別の世界…「異世界」とでもいうのだろうか。
その異世界を見ていると、おれは目を疑った。

錬「…え?」

そこには、隆樹が映っていた。