複雑・ファジー小説

Re: 【第十五論!】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風【オリキャラ募集!】 ( No.108 )
日時: 2011/09/12 18:42
名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: SpWrrZ9C)

第十六論





 乱陶は、取り囲まれても焦る様子は一切見せず、懐から扇で取り出した。

「仕方ないのぅ」

 《魔法》の枯葉旋風をタッチする。

「させるか」

 乱陶が魔法を使う前に、ティヴルはピストルを二丁構え、勢い良く引き金を引いた。
 銃弾が目にも留まらぬ速さで放たれる。
 しかし、乱陶が扇を振るうと大きな風が巻き起こり、銃弾を無力化する。
 
「この程度で、ワシを倒すつもりかのぅ」
「甘いな」
「何……?」

 乱陶は、さっと振り向く。
 ちょうどアリアが《魔法》の《音風》をタッチして、バイオリンを弾く。
 美しい音色が響き渡り、眠気を誘う。
 
「くっ……」

 乱陶は、眠くなるのを防ぐため、軽く扇を振るい、自分の腕を切り裂いた。

「もらった!」

 その瞬間、ティヴルが素早く引き金を引く。
 大きな銃声が響き渡り、銃弾が乱陶の腕に直撃する。

「むぅ……痛いのぅ……」
「……乱陶さん」
「む? お主は、昨日の……」
「はい。昨日の──ぶつかって格好悪くバランスを崩してペコペコ頭を下げて謝った狐です」
「……そこまで、詳しく言わんでも……」

 アヤメは、真剣な表情で口を開く。

「あなたは、本当に星乱さんとリオさんのことが嫌いなんですか?」
「それは……どうかのぅ」
「……私には、そうは思えません。本当は、嫌ってなんかいないんじゃないですか?」

 アヤメの言葉を聞いて、何かを考えるように黙り込む乱陶。
 扇を懐にしまうと、星乱とリオに目を向ける。
 
「……ワシも、少し頭を冷やすことにするかのぅ」

 《魔法》の《転移》をタッチする。
 乱陶の姿がきれいさっぱり消え去った。

「とりあえず、解決みたいだな」
「そうですね。あ」

 アリアは、リオの元にしゃがみ込むと《魔法》の《癒しの音色》をタッチしてバイオリンを弾く。
 きれいな音色が流れ、リオの肩の傷口が消え去る。

「これは……」
「回復魔法ですよ。大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」

 リオが頷くと、アリアはにこりと微笑んだ。
 
「さて、ここから出るかー」

 そう呟き、星乱が立ち上がる。
 何を慌てたのか、リオが引き止めるようにしがみつく。

「ちょっ……ま、まっ……置いて行くなバカぁ!」
「……べつに置いていこうとはしてないが……。何をそんなに慌ててるんだー? まさか、その歳で抱っこしてほしいとか言うつもりか?」
「なわけないだろバカ猫!」
「リオちゃんって、ツンデレのデレが強いタイプだよね?」
「うるさい! 黙れ!」

 



                
       
                 ◆




 漆黒の闇に包まれた空に、月がぽっかりと浮かんでいるのが窓から見える。
 船員室には、引きこもり中のセラを除いて、全員が集まっていた。
 星乱がソファに腰掛け、さりげなく隣に腰を降ろし、ぴたっとつっくいて様子を伺うリオの姿があった。

「……とりあえず、解決したってことでいいんでしょうか?」
「そうだね。あの人が探してたのは星乱くんとリオちゃんだったみたいだし、もう海賊団を襲うことはないんじゃないかな?」

 アリアの言葉にアッシュが笑顔で答える。
 
「ま、解決ってことだよな。ところで……」
「どうしたの?」

 ティヴルに対し、アッシュが不思議そうに首を傾げる。

「……そこの、くっつき過ぎの二人をどうにかしろ。特に嫁の方が鬱陶しい」
「なっ!」
「お前が夫に構ってほしいのは十分分かったから、目の前ベタベタするのはやめろ。見ていて腹立つ。ほら、俺の命令だからな? ちゃんと聞けよ?」
「ベタベタしてなんか……。誰が夫と嫁だ! それに……何でお前に命令されなきゃなんないんだ!」

 そう言いながら、リオは立ち上がる。
 
「……バトルが白熱していることろ悪いんですが……」

 遠慮がちにアヤメを口を開く。
 とりあえず、リオが黙ると言葉を続ける。

「これから、どうするんですか?」
「……とりあえず、おばけ屋敷でも行くかー」
「や……そんなのダメだ! 恐いじゃないか……。…………い、いや、恐くないが……遊んでる場合じゃないだろ。次の宝探しにでもさっさと行くぞ!」
「…………」
「……な、何だその目は……。ホントに恐くなんかないんだからなバカあ!」
「で、お願いがあるんですが」

 とりあえず、全員リオの言動は無視し、アヤメが再び口を開く。

「私も……行っていいですか?」
「もちろんだー」