複雑・ファジー小説
- Re: 【第十八論!】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風◆【完成!】 ( No.135 )
- 日時: 2011/09/16 09:48
- 名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: C.wu5m6D)
第十九論
「……で、坊やって誰のことだ?」
不機嫌そうなリオが呟く。
呆れ顔でアヤメが答える。
「今更聞くんですか? ……星乱さんはあの方と話していませんし、やはりあなたのことだと……」
「ざけんなあ! 私は、これでも一応女だからな!?」
「そう……ですね……」
「だから何なんだ、その反応はっ!」
「まあ、これからはもう少し態度を改めるんだなー」
きび団子を食べながら呟く星乱。リオはどういうわけか、その場にしゃがみ込み、俯いた。星乱、アリア、アヤメ、セラが不思議そうに首を傾げ、道行く人は不審そうにこちらに目を向けて去って行く。
この状況は、正直いいとは言い難く、アリアがリオの肩を軽く叩く。
「あの、リオさん? どうしましたか? 具合でも悪いんですか?」
「…………」
「リオさん……?」
リオは、ぱっと立ち上がる。
「くそっ! さっきの奴、追いかけるぞ!」
そう言い、リオはごしごしと目をこする。
セラが恐る恐る問いかける。
「もしかして……泣いてたんですか……?」
「こ、この野郎ーーーーー!」
「ひええええええ!? ごめんなさい!」
どうやら本気で泣いていたらしい。男だと思われたのがよほどショックだったようだ。
リオは踵を返すと、足を踏み出す。
「とっ捕まえて、私が女だって証明してやる!」
「え? この先もう会わない可能性の方が高い相手をわざわざ追いかけて証明ですか……」
「私を、間違えて男だと認識してる奴がこの世界にいるなんて、耐えられるわけないだろ!」
「スケールでかいーーーーーーー!?」
「とにかく、さっさと追いかけて証明をだな……」
「ところで、リオ」
リオの言葉を遮り、星乱が片手を上げる。
そちらに顔を向けてリオはむすっとした表情で小首をかしげた。
「何だ?」
「どうやって証明するんだー? まさか脱ぐのかー?」
「私をどこの露出狂だと思ってるんだお前はぁっ!」
「では、どう証明するんだ?」
「その……よく見れば、私が女だって分かるだろ……」
そう言っている割には、やけに落ち着きがない様子だった。
実際のところ、自信がないのだろう。そして、他に証明する方法を考えていないと。
「ど、どうなんだよお……。私、男に見えるのか!?」
星乱は、しばらく黙り込み、
「どう見ても男……」
「う……」
その言葉を聞いて、今にも泣き出しそうになるリオ。
ここで再び、星乱が口を開く。
「冗談だが? うーむ……なかなか可愛いと思うがー?」
「……っ! ば……ば、バカぁ!」
「?」
星乱は、なぜ褒めたのに怒るのか理解できず、不思議そうに首を傾げる。
顔を真っ赤にしたリオは、足早に歩き出す。
星乱達もそれに続く。
ふと、大きな声が響く。
「そこの不審者ーーーーーーーー! 止まりなさいーーーーーーー!」
振り向くと、一人の少女がいた。きれいに切り揃えられた、日本人形のような黒髪を肩まで伸ばし、金色のバッジがついた黒い着物に赤い袴、猫の耳と尻尾、そして刀を携えている。
「そこの、でかいケース持った学生ーーーー! 早く止まりなさいーーーーーー! なかに何が入ってるのか、確認させてもらいますっ!」
少女が指差す方向……一人の少年がいた。黒髪を肩ぐらいまで伸ばし、犬の耳と尻尾に学ランを羽織り、大きなケースを持っている。
「早く止まりなさいっ! 学生が何持ってるんですか!? もしや爆弾ですか!? それとも、死体でも詰めてるんですか!? さっさと確認させてくださいーーーー!」
「だから、ただの武器だって! とにかく、俺は捕まるわけにはいかないんだ。じゃ」
そう言い残し、少年は姿を消してしまう。
「待ちなさ……あ」
少女は、リオ達を見て近づいて来る。
「お兄!?」
「え……?」