複雑・ファジー小説

Re: 【新表紙絵!】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風◆【参照900!】 ( No.180 )
日時: 2011/09/20 12:52
名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: PQ6W.j/M)

第二十三論




「あなたのお姉さんの思ってること、代弁してあげる」

 少女は、リオの姉の姿でにこりと微笑む。

「…………」
「リオ?」

 その声すらも、姉と全く同じものに変貌させていた。
 姉が、時々浮かべていた心配そうな表情……。
 リオは何も言えなかった。魔法で攻撃することもできない。
 
「どうしてですか?」
「……!?」
「どうして……、私の大事な人を……」
「あ、姉上……?」
「横取りしたんですか?」
「……っ! わ、私は……横取り、なんて……」

 リオは、アサルトライフルを下げ、自信なさげに答える。
 少女はにこりと微笑む。

「私は、傷ついてるんですよ?」
「それは……」
「どうしてですか? 私は、あなたが羨ましくて……、そして憎いです」
「あ……姉上……私は……」

 炎を帯びた弾丸が、少女の身体を貫く。
 少女は、ばっと振り向く。
 一際大きな木の後ろに、ライフルを構えたリズがいた。
 リズは、楽しそうに笑う。

「フフ、久しぶりに骨のある相手みたいね」
「あんた、やってくれるじゃない?」

 少女は、先程までリオの姉そっくりだった声から本来の声に戻る。
 
「リオ」
「星乱……?」

 何が何だか分からないリオは、周囲を見回す。
 
「ここだー」

 すぐ目の前に立っていた星乱がリオの頭を軽く叩く。

「そうだなー……、その辺りで休むといい」
「で、でも……姉上が……」
「落ち着けリオ、あれは君の姉じゃない。化けた管理者だー」
「姉上が……」
「まあ、落ち着けー……」


 どういうわけか、星乱はリオの耳を引っ張る。

「う……痛いぞバカぁ!」
「ふむ」

 星乱は、少女の方へと視線を移す。
 それに反応し、少女は不気味な笑みを浮かべる。

「あなたに、この姿の私が倒せる?」
「うむ。何せ、その人物は一人しかいないからなー」

 そう呟き、星乱は杖を構える。
 その姿でも意味がないと悟った少女は、元の姿へと戻る。

「まあ、いっか。少しは楽しめそうじゃない?」