複雑・ファジー小説
- Re: 海賊と鬼退師と電子世界 ( No.2 )
- 日時: 2011/09/07 09:42
- 名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: 8Zs8HT.V)
第一論 海賊と鬼退師の相性は合うのか
澄み切った青空を、白い綿のような雲がゆったりと流れていて、ジリジリと強い光を放つ太陽が照り付けていた。
はるか彼方まで広がる、深い青色の大海原を航海する一隻の船の姿があった。
木製であまり飾り気のない、前方に独特な猫のマークのらくがきがある海賊船である。
甲板で、警戒しているのか周囲を丹念に見回す人物がいた。
輝く黄金色の髪を肩あたりまで伸ばし、翡翠色の瞳に、眼帯を用いて右目を隠した黒い海賊衣装を纏い、ふわふわの耳と尻尾を生やした少女だった。
ふと、何かに気づいて海に目を凝らした。
そして、怪訝そうに眉をひそめた。
「は……?」
人が流れていた。
◆
流れていたのは、海のような青色の髪で、着物を纏い、耳と細い尻尾を生やした青年だった。
何とか引き上げ、現在は船内にある医務室のベッドに寝かせていた。
少女と、輝く金髪のふわふわした髪を肩まで伸ばし、真紅の瞳に背中に小さな天使のような羽が生えた一見、少女に見える少年がベッドを囲んでいる。
「リオちゃんって優しいんだね? 知らない人を助けるなんて」
にこりと告げる少年に対して、少女は不機嫌そうな表情を向ける。
「善意からじゃない。とりあえず、目が覚めたらお礼を募ろうと思ったまでだ」
「そうなんだ……」
「さて、今のうちにもらっておくか」
リオは、さっと青年に手をかざした。
手をかざすと、白く丸い形をしたウィンドウ……《人物情報》が出現する。名前の欄には、星乱(せいらん)と文字が浮かびあがっていた。
「ふーん……星乱って言うのか……東方出身だろうか?」
呟きながら、リオは《人物情報》の持ち物欄をタッチする。
新たに四角いウィンドウ《持ち物情報》が現れ、持ち物の名前が表示された。
一つだけ、文字が浮かびあがった。
《向日葵の杖》
「コイツ、杖しか持ってないじゃないか! どういう了見だ!? 期待させといて何なんだ! ダイヤぐらいあってもいいだろうが!」
「リオちゃん、ダイヤって普通の人はあんまり持ってないよ?」
「とりあえず、この向日葵の杖をやらを……」
悔しそうな表情を浮かべつつ、《向日葵の杖》という文字をタッチする。
シュンとその場に、金色で先端に一枚の金色の花びらがついた杖が現れた。
「ふむ……意外と高価そうだな……もらっておくか……」
「こら、何をしている……?」
目を覚ました青年が、いぶかしげに問いかけてきた。