複雑・ファジー小説

Re: ◆鬼退師付き海賊銃乱戦風◆【第六論完成】 ( No.31 )
日時: 2011/09/08 12:23
名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: 1VSk00VJ)

第七論



 
 何時間たっただろうか。
 ようやく船が止まり、降りようと甲板に出ると空は、灰色の雲で覆われ、見渡す限り薄暗く空から降り注ぐ冷たい雫が地面を濡らしていた。
 リオは、ため息をつき一言。

「弱ったな。この天気では……」
「引き返すしかないかー」
「と言いたいところだが、行くぞ」
「むー……、雨は苦手なんだがなー」

 星乱は、不満そうに言うがリオは全く気にすることなく、アッシュとセラに目を向ける。
 
「じゃあ、探すか」
「ところで、何を探すんだ?」

 星乱は、不思議そうに首を傾げる。
 よく考えれば、まだ何を探しにこの島に来たのか、一切聞いていなかった。何を探すのか聞かないことには、やる気も出ない。
 
「花だ」
「花?」
「黄金色の花らしいな。この島にしか存在しない、金の花だ。財宝というには相応しいだろ?」
「ふむ……」

 それを聞き、星乱も興味が湧いた。
 金の花というのは、どういったものかは分からないが、相当珍しいものなのだろう。ならば、この目で拝んでみたいと思い、納得したように頷いた。
 
「リオちゃん、どうやって探すの? この島、結構広いみたいだし」
「アッシュくんの言う通り、広いですよ。やめましょうよ……」

 リオに質問するアッシュの傍ら、恐がってのことか、さりげなく花探しをやめさせようと試みるセラの姿がある。
 しかし、リオはセラの言葉は完全に無視し、アッシュの質問にのみ返答する。
 
「そうだな……、手分けして探すか。だが、一人ずつバラバラにというのは何かあった時、困るからな」
「そうですよ! 私、一人じゃ無理ですー!」
「まあ、二人ずつ妥当じゃないかー?」
「だな」

 リオは腕を組んで、しばらく思案する素振りを見せ、

「どう分ける?」
「うーん……、僕はセラちゃんとでいいかな? セラちゃん、恐がりだから何かに出くわした時なんか、僕だったら羽があるから飛んで逃げられるし……。一人でね」
「や、やめてください! 一人で逃げないでください! 私を置いて行かないでください!」

 セラが、泣きそうな顔でわたわたと両手を振る。
 
「えへ、冗談だよ?」
「驚かさないでください……、お願いシマス」
「ちっ……、私は星乱とか」
「リオ、舌打ちは失礼に値するぞ?」

 不機嫌そうな表情で星乱が言うが、リオはそれを気にする風もなく、言葉を発する。

「じゃあ、行くか」