複雑・ファジー小説
- Re: 【第十一論】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風◆【オリキャラ募集!!】 ( No.68 )
- 日時: 2011/09/10 14:52
- 名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: ZGo4Gnz1)
- 参照: http://ameblo.jp/686-7777/
第十二論
甲板に出ると、透き通った青色のキャンパスに白い絵の具を所々に塗ったような空が広がり、地面を焦がしてしまうのでないかと思うほど熱い太陽光がじりじりと照りつけていた。
無限に広がっている広大な大海原は陽光を浴びて、まるで大量のダイヤモンドが沈んでいるのかと思うほど、強く光り輝いている。
リオは、《人物情報》を呼び出し、《魔法》の《ネット》をタッチする。大きな網が出現し、それを海に投げ入れる。
「繋がなくて、大丈夫なのか?」
いつからいたのか、隣に立っている星乱がぼーっとした表情のまま首を傾げつつ、尋ねてくる。
「ああ、魔法だからな。勝手に戻って来る」
「そうか……ん? あれは……」
「何だ?」
星乱が指差した方向に目を向ける。
一隻の船だった。
黒色で、金の装飾が施され、ドクロマークが描かれた帆がある。見るからに海賊船といった感じである。
「……近づいて来てないか?」
「うむ。俺もそんな気がするー」
「…………」
◆
海賊船は、すぐ隣で止まった。
「来るか」
リオは、気を引き締めてアサルトライフルを用意する。
他の海賊船がこうやって傍まで寄って来るのは、大抵いいことではない。大半が、財宝や金目のものを奪いに来るといった類だ。
人の姿が見えたと思うと、すぐさまこちらに乗り移って来た。
長い銀色の髪に銀の瞳……海賊衣装にいくつもの銃をぶら下げ、狼の耳と尻尾を生やした青年だった。
彼は、二人を交互に見つめ、
「……殺るか」
とんでもないことを呟いた。
リオは、すぐさまアサルトライフルを青年に向ける。
「お前、何者だ! 何の用でここに来た!?」
「俺は、ティヴルだ。べつに覚えててもらわなくてもいい」
「……何の用だ?」
「海賊なんだから、財宝の一つや二つは手に入れてるだろ? だから、それを寄越せよ」
「渡せるわけないだろ!」
リオがそう答えると、ティヴルは銃を構える。
「そうか。この俺に逆らうとどうなるか教えてや」
「船長」
ふっと一人の少女が現れる。
ティヴルとリオの間に割って入る。
輝く黄金色のツインテールに、紅蓮のような赤い瞳。肩には、バイオリンケースをかけていて、兎の耳と尻尾を生やして端整な顔立ちをしていた。
正直、海賊の間に割って入るようには見えない。
「人が手に入れたものを奪うのは、いけませんよ?」
少女は、ティヴルに向かって言い放ち、リオと星乱に顔を向ける。
にこりと微笑む。
「はじめまして。私は、アリアと申します。あなた方のお名前は?」
「……私は、リオだ」
「俺は星乱ー」
「リオさんに星乱くんですか。よろしくお願いします。ここに来たのは、ある事件のことで、なんですが……」
「あれ? お客さんかな?」
アリアが言いかけた時、アッシュが甲板に出て来て首を傾げる。
「はじめまして。僕、アッシュって言うんだ」
「はじめまして。では、本題に──」
「待て。その前に……」
ティヴルがアリアの言葉を遮り、
「腹が減った。話の前にそこの料理が得意そうな女、飯を用意しろ。俺の命令は絶対だからな? 拒否権はないぞ?」
「はーい、用意しまーす。けど、僕は女の子じゃなくて男の子だよ?」
苦笑気味にアッシュは答える。
怒ったのか、リオが大声で叫ぶ。
「勝手に、人の船の船員に命令しないでくれるか!? アッシュも他の船の奴の言うことを聞くんじゃない!」
「協力という言葉を知ってるか?」
「……何か、もういい……どう考えても、理由付けのために協力って言葉を引っ張り出してきたようにしか……」
「困ったなー」