複雑・ファジー小説
- Re: 【イラストup】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風【オリキャラ募集!】 ( No.85 )
- 日時: 2011/09/11 16:19
- 名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: ochT2IaH)
- 参照: 故障でマウスが効かない……!
第十三論
果てしなく広がる、青空の下、多くの人々で賑わう《旅人の町》が存在していた。その名の通り、旅人ばかりが訪れる町で、屈強な戦士から神秘的な魔道師など様々な旅人がいた。
《旅人の町》の、武器屋や道具屋が立ち並ぶ通りを一人の少女が歩いていた。
銀色のポニーテールに、青い男物の服を着て狐の耳と尻尾を生やした一見、少年のようにも見えるが、可愛らしい顔立ちの狐少女である。
少女は、扇で顔を扇ぎつつ、歩き続けた。
「……眠い」
ぽつりと、呟く。
目をこすりつつ、歩くものだから、前を見ていなかった。
正面から軽い衝撃を受け、思わずバランスを崩す。
少女は、慌てて立ち上がると目の前にいた猫青年に頭を下げた。
「……すみません。よそ見してました」
「いや、構わんよ。ちゃんと前を見てなかったワシも悪いからのぅ」
青年は、苦笑気味に呟く。
それを見て、少女は内心ほっとした。
旅人が集まること町では、当然気性の荒い者もいる。そんな者とぶつかったりしたら、ケンカは避けられないだろう。幸いにも、この青年にはそのような様子はない。
青年をまじまじと見つめる。
青色の袴に、金の刺繍が施された白い羽織を羽織っていた。あまり見かけない服装だ。
「さて、そろそろワシは、行くが……、すまなかったの」
「……いえ」
青年が、歩き出した方向を見ると、もうその姿はなかった。
少女は怪訝そうな表情を浮かべる。
「……あの男? まさか……」
◆
結局、リオ達はティヴル達に食料を分けることとなっていた。
「多少はマシな料理だったな」
「はあ!? 作ってもらっておいて何言ってんだ!」
自分の船でもないのに、堂々とくつろぐティヴルに対し、リオは苛立ちを隠せないようだった。
「では、本題ですが……」
ソファに姿勢正しく腰掛けたアリアが口を開く。
「ああ、本題だ。実は協力してほしいことがだな」
「黙れ! 誰が、得体の知れない奴の頼みなんか!」
「……ふむ、話を聞こうかー」
星乱が、リオの代わりに話を進めようと試みる。
「おい!」
「まあ、いいではないかー。悪者では、なさそうだしなー」
「だから、初対面の相手なんかに……協力なんて」
「話を聞くぐらいは、いいんじゃないか?」
星乱の言葉に、リオはふるふると震え始めたかと思うと、突然星乱にしがみつく。
「何で私の言うこと、聞いてくれないんだよお! 確かに、そのアリアって美人だけど! だからって、そんなに私の言うこと否定するなよ……」
「?」
「な……何だよ! 何で私に構ってくれな……、何でもない」
最後の何でもない、はおもや手遅れ以外のなにものでもないだろう。
リオは、ぱっと手を離すと顔を背ける。
「……リオちゃんは、甘えん坊だよね?」
アッシュが、可愛らしい笑顔で言うのに対し、リオは顔を真っ赤にする。
「ち……違う! 今のは、その……、脳の働きが誤作動して……」
「……脳の働き誤作動とは、随分深刻な病気なのかー?」
「黙れ!」
「あの……、そろそろいいでしょうか……?」
アリアが遠慮がちに、口を開く。
「あ、ああ……。もういい、早く話せ」
「全く、早く話を聞け。旦那に構ってほしい甘えん坊の嫁の姿を見せられても、こっちは楽しくもない。まあ、笑えるが」
「黙れーーーー!」
ティヴルの言葉に、リオは怒りをあらわにする。
船長同士とは、こういうものなのだろうか、と思いつつ、星乱はアリアに顔を向ける。
「で、話とは……?」
「はい。実は……、海賊が襲撃される事件が続いているんです」
「ふむ?」
「海賊船に乗り込み、船員を手当たりしだい倒す、といったもので……。その犯人は、たった一人らしいのです」
「一人……」
星乱は眉をひそめた。
海賊というのは、強い者が集まっていることが多い。それをたった一人で倒すのは、なかなか難しい。
「私の友人の船も襲われてしまいまして……、何とかしたいのですが……相手は、海賊団を一人で潰してしまうほどの者です。ですから、協力をお願いしたいのです」
「ふむ……その人物の目的は分かるか?」
「聞いた話ですが、何も奪うことなく去っていくそうです。恐らく、人を探しているのではないかと。やり方があれですから、あまりいい理由で探しているとは思えませんが……」
確かに友達を探すのに、わざわざ海賊達を倒す必要などないだろう。その友達とやらが海賊達にさらわれた、というのならば話は別だが……。
「その、人物の特徴は?」
「青色の袴に、金の刺繍が入った羽織を羽織った、猫人だそうです」
「…………」
その言葉に、星乱が反応する。