複雑・ファジー小説

Re: 【第十四論】◆鬼退師付き海賊銃乱戦風【オリキャラ募集!】 ( No.94 )
日時: 2011/09/11 20:51
名前: 王翔 ◆OcuOW7W2IM (ID: 9nW7JjDH)
参照: 故障でマウスが効かない……!

第十五論




「…………」

 リオは、目を覚ました。
 ゆっくりと、さっき起きたことを思い出す。そして、周囲を見回した。
 見覚えのない、薄暗い倉庫のような所だった。
 動こうにも、手足を縛られていて動くことができない。

「目を覚ましたか? リオ殿」

 先程の青年が声を掛けてくる。
 
「この……さっさと解け!」
「それは、できんよ。まあ、もう少し待ってくれ」
「待つって、何を……」
「…………。ところで、リオ殿」
「何だ……?」
「……リオ殿は、星乱と最初に会ったのは、いつであろうか?」
「そんなの、つい一週間前で……」
「ワシは、違うと思うがなぁ。そなた達は、以前によく会っていたのでないかの?」
「は……?」



         


              ◆




「大丈夫ですか?」
「ん? あれ……?」

 声を掛けられ、アッシュは目を覚ました。
 目の前には、狐少女がいた。
 
「君は……」
「僕は、アヤメと言います」
「アヤメ、ちゃんか……。僕は、アッシュだよ」

 アヤメは、心配そうに質問する。

「なぜ、こんな所で倒れていたんですか?」
「えーと……何か襲撃されたって言うのかなぁ。あれ?」
 
 アッシュは、目をぱちくりさせ、周囲を見回す。
 
「リオちゃんがいない……」
「リオちゃん、とは?」
「さっきまで、一緒にいたんだけどなぁ……」
「アッシュじゃないか。ここにいたのかー」

 振り向くと、星乱達がいた。
 アリアが、何かに気づいたようで前に出る。

「アヤメさんじゃないですか。ここにいたんですか? 港で待っててほしいと言ったはずなんですが……」
「……ごめんなさい。つい、フラフラしてて忘れてましたよ」

 アヤメは、シュンと肩を落とす。
 
「あ、いえ、こうして会えたんですから、謝る必要はないです」
「ところで、リオはどこ行った?」
「さっきまで、一緒にいたんだけど……何か襲撃されちゃって……僕、気を失っちゃったから、どうなったか分からないんだ……」

 アッシュの言葉を聞いて、星乱は納得したような様子を見せる。

「……やはりな」
「え?」
「奴は、やらんでいいことをわざわざやるからのぅ」
「へ?」
「お前の言ってることが理解できないな」

 ティヴルが呟く。
 星乱は、相変わらずぼーっとした表情で呟く。

「まあ、リオとアッシュを襲撃したのも、海賊船を次々襲ったのも同一人物だな。恐らく俺の知ってる奴だー」
「知り合い、ですか……?」
「うむ」






                   ◆




 
「リオ殿」
「…………」
「そなたも星乱も、彼女に隠し事があったであろう?」
「…………」

 青年の問いに対し、リオは何も答えない。

「結局、最後まで彼女は何も知らずに死んだ、からのぅ」
「わ……私は……」
「ワシも彼女のことが好きだったからのぅ。最も、遠くから見ているだけだったが……」
「…………」
「だからこそ、星乱……いや、兄上のことも、そなたのことも許せんのだよ」
「何をしたって……」
「今更とぼけるつもりかの? 実の姉の恋人に想いを寄せたであろう?」
「……っ!」
「兄上も、彼女の傍に一生いると約束しておきながら……」

 青年は、そう言いながら少しだけ哀しそうな表情をする。
 
「リオ殿」

 床に置いてあったナイフを手に取り、青年はリオの肩に突き立てる。

「うあ……、うう……」
「どれだけの痛みを伴えば、償えると思う?」
「私は……二人の仲を引き裂くとか……、そんなことは……ただ……」
「ただ、好きだったから。それで、許されるわけがなかろう?」
「い……っ!」

 青年は、さらにナイフで傷口を抉る。
 
「……っ! やめ……ううう……」

 痛みで意識が朦朧とするなか、リオは必死に意識を保つ。

「やめんかアホ」
「兄上。早かったのぅ」
「…………」

 倉庫に入って来た星乱は、リオの前にしゃがみ込むと縄を解く。
 
「大丈夫かー?」
「バカ猫……殴るぞ。大丈夫に決まってる。これぐらいで……」

 リオは、ぎゅっと星乱にしがみつく。
 その身体が震えているのが分かる。

「ふむ……。ところで、乱陶……」
「何かの?」
「君は、包囲されている……。おとなしく投降しろ、とでも言っておこうかー」

 星乱の言う通り、周囲にはアッシュやアリア、ティヴル、アヤメがそれぞれの武器を構えていた。

「困ったのぅ」