複雑・ファジー小説
- Re: 泣き蟲せかいの登場人物R1200 ( No.1 )
- 日時: 2011/09/24 13:47
- 名前: 芽黒 ◆sSA6ZLKK6w (ID: b1TZiT7s)
プロローグ 〜20XX年〜 朝霧優大
・・・あっちぃなぁ。こんな天気生まれて初めてだ。
暑い、暑い、暑すぎる。水だったら完全に蒸発するわ。
「隕石は地球に向かい落ちてきています!!しかし、まだ希望はあります!!あきらめないでください、皆さん!!前向きに考えるのです!人類滅亡から、隕石衝突から逃れる事を!!」
アナウンサーが必死になって喋るのがつけっぱなしのラジオから聞こえてきた。鬱陶しいなぁ。でも他にやる事ないし。
テレビはない。国が隕石衝突をとめるための資金が必要とかなんとか言ってほぼ強引にテレビやら車やらいろいろ回収してしまったので。
・・・丁度一ヶ月前だった。
「隕石衝突」なんて言葉がテレビ上に出てきたのは。
NASAが緊急に発表した、隕石衝突の可能性89%。本当にこんなことが起こるのか。はじめはほぼ、大半の人が半信半疑でいた。いや、ほぼ、信じていなかった。でも、発表されてから一週間後、アフリカには異常現象が起きた。雪だ、雪がふったのだ。年中、真夏のような気温を保っていたアフリカだったが、雪が降り、気温は真冬並。氷点下五度なんて数字さえも出た。それ以外に、アメリカの都市では大停電がおきたり。外国だけではなく、それは日本にも。
夜がやってこないのだ。一日中おてんとさまが地面を照らしつけていた。暑いのはそのせいなんだろう。人間の刻んできた時が崩壊した。昼と夜の区別がつかない。
一ヶ月前まで平和に暮らしてたのになぁ。
ま、今も俺とその周りの馬鹿共は50%位平和に暮らしてるんだけど。
「優大ー。アイスー。」
地球・・・人類の歴史が終わるかもしれないっていうのに、コイツは人の家まで来てなにしてんだよ・・・!!!・・・鈴野仁司。一応クラスメイトで友人(多分)でもあるのだが・・・。
学校が休校になった途端これだ。毎日。ずっと。決め台詞は
「アイスー。」
「アイスないのー」
「アイス買ってきてよー。」
・・・思い返してみると、主にアイスしか言わなかった。開発途中のロボット並だな。
苛立つ。今の俺を一文字で表すと———・・・ずばり、「苛」!!
「大体アイツなんてねぇっつーの。もうアイスなんて二度と食えねーんだよ。」
人の部屋でさっきからごろごろしてるヤツ。不法侵入で警察に突き出してやろうか。部屋に入れなんて一言も言ってないぞ俺。
「えー??ゆうたんのケチ」
コイツの真上に隕石落っこちればいいのに。
「とりあえず・・・アイスなんてないし。わかったんなら帰ってくれない??」
無駄だよねー、言っても無駄だよねー。行かれたら行かれたで困るけどさ。
いや、一人でいたくないとかそういんじゃなくて。
・・・いや、ほんとに。
そもそも隕石衝突とか何??俺まだ死にたくねぇよ。やりたい事いっぱいあるし、この若さ(17)で死ぬとかありえん。いや、あってほしくない。ただ単に死にたくない。それだけ。
なのになんも出来ない。無力。己がこんなに無力という事を思い知らされた。