複雑・ファジー小説

Re: 泣き蟲せかいの登場人物R1200 ( No.2 )
日時: 2011/09/19 18:21
名前: 芽黒 ◆sSA6ZLKK6w (ID: biELAV5.)

「ねぇ、ゆうたーんアイ」
「アイスなんてねぇっつってんだろ!!少し黙ってろよ!!」
本日5回目のアイス発言をした仁司は優大の怒声を浴びると少し口元を歪ませた。
 優大はまさに「ブチギレ」という状態だった。優大がこんな事で怒るなんてめずらしいものだ。ブチギレの状態にする仁司も仁司だが。
 さっきの「苛」がたまりすぎたのかもしれない。
 それかとんでもない暑さのせい。
「本当だったら今、夜の10時なのに」
 24時間時計を哀しい眼で見つめる。その声は消え入りそうだった。
 時計の針は22の文字をさしていた。10時。
 普段ならバラエティ番組の始まっている時間だが、それはもうない。なにもないので。それに今、番組の収録なんてきっとできやしないだろう。だから、何もできない。一日中ずっと「暇」という言葉が回ってる。
「本当だったら、な」
仁司は普段の落ち着いた顔になり、おなじく時計を見つめた。その眼は何かを語っていた。
「・・・・・・しりとり。」
仁司は呟いた。
「は??」
何言ってんだコイツ。暑さでとうとうやられちゃったか。
「しりとりだよ、はい優大、り!!」
ああ、そういえば仁司はもとから馬鹿だったな。
「・・・りぼん。」
早速終わったしりとり。優大はクスクス笑った。
「は!?はい罰ゲームとしてアイスな!ガリガリくんでもなんでもいいから買って来い!!」
 あ——。馬鹿じゃん。馬鹿だ。馬鹿。どうしようもない馬鹿。笑い止まんない。
 やっぱ、隕石なんてない。あったとしたら、今、俺はきっと笑っていないはず。
 勝手な解釈を頭でする。そして無理矢理恐怖を抑えた。、こんな事考えてる時点で、俺やっぱ怖いんだ。まだきっと死にたくないんだ。きっと。
「・・・死にたくないよ」
 笑いは急におさまった。代わりに違うものが顔を走った。汗でもない、別に鼻水とかよだれでもない。純粋な涙100%が。
「まだ、まだ・・・・・・・」
全身に寒気が走り身震いする。何だこれ、止まんねー。前がぼやけて歪んで見える。
「・・・なんねぇよ」
「なんねーし、そんなん。くそったれどもが勝手に妄想しただけ。わかりますか〜?泣き虫優大くん?」
いつもだったら怒って怒声上げてるんだろうけど今は無理。怒声を上げるなんて事、今は固くお断りします。
「だからさぁ〜」
「こんにちわ〜っっ!!上がりますよー」
 んだよ、何でこんなタイミングで・・・。 
 そう言った「彼等」はズカズカ足をならし家に入り込んだ。顔を上げた。そこには薫とひかるがいた。
「あれ、優大くん・・・泣いて・・・」
 薫が早速俺の悪態に気付く。あーあ。最悪じゃん、俺のこんな面見られるなんて。最悪最悪。今日は俺の生まれてから今までの間で史上最悪の日。多分。
「・・・んだよ、どいつもこいつも人ん家ズカズカ入りやがって」
無理矢理声を上げた。
「え、じゃあ優大くんはいらないの?アイス。」
「アイスゥゥゥ!?」
「え〜、勿体無いですよう、折角手に入ったって言うのに〜」
「んじゃ俺がそのアイス食ってやるよ!」
3人が続ける。アイス?え、何?何の打ち合わせ?訳がわからないという顔をしていると薫がそれに気付き
「え、だって今日優大くんの誕生日じゃないですかぁ〜」
・・・・え?