複雑・ファジー小説
- Re: ■菌糸の教室■ ( No.6 )
- 日時: 2011/09/09 22:57
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: tgcfolY3)
それから、柚木久美の永遠と続くお喋りを何とか流すこと数分。やっとの思いで教室に着くと、教室の前に人だかりができていた。
「? みんなどうしたのさ、なんで教室に入らないの?」一番近くに居たクラスメートの峰に話しかけると、峰はわざとっぽく両手をヒラヒラと振った。
「また鍵が閉まってんだよ。今、九里さんが取りに行ってくれたけど。」
「ああ、そうか。」
なぜ教室のドアに鍵なんかかけてあるかというと、数週間前、うちの学校に空き巣が入ったからだ。
空き巣、と言っても物は何も盗っていかなかったらしい。被害は北階段の窓が一枚割られたのと、一年生の教室にあった全ての机が廊下に出されていたことだ。窓が割られたのが深夜1時半で、それから警報を聞きつけた管理会社の職員が学校に駆け付けたのが1時45分。たった15分の間に、8クラス全て、つまりは320人分の机という机が全て廊下に出されていたらしい。
被害が窓一枚で済んだのは幸運だったのだが、気味を悪がった理事会は放課後、全ての教室に鍵をかけることを呼びかけた。それが功を成しているのかいないのかは微妙なところだが、それ以来、空き巣の被害は出ていない。
「ねぇ、」峰がずいと俺に顔を寄せた。「楓はどう思ってる?」
「どう思ってる? って、何をだよ。」
「ばーろ、この前の空き巣事件に決まってんでしょ。だって何も盗られてないんだよ?変でしょ。」
「……まぁ変っちゃ変だけど。何も盗られなかったんだから別にいいんじゃない?」
すると峰は茶色の短髪を不愉快そうにガリガリと掻いた。「違うったら! だからね、俺が聞きたいのは被害のどうこうじゃなくてさ、なんで犯人がこんなことしたかってことよ。」
「うーん、机を除けることになんか意味があるとしたら……取りあえず、犯人は教室にスペースが欲しかった……のかな。」
「それに、AからH組まで全部だぜ?普通に考えて犯人は大人数だよね。」
そんな感じで峰と二人でしばらく悩んでいると、九里さんが向こうから教務室のマスターキーを右手に握りながら走ってきた。お礼を言うと、九里さんは笑いながら、「いいのよ、運動不足だから(笑)」と返事をした。
教室に入ると、一晩中完全に締め切っていたせいか、空気が淀んでいて、湿気もすごかった。冗談じゃなく、きのこが生えそうだと思うくらいだった。
