複雑・ファジー小説
- Re: 魔界の魔王ども ( No.14 )
- 日時: 2013/11/02 21:58
- 名前: 御神西鬼 (ID: JuyJRz6j)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
今日も今日とて魔界はいつもの日常でした
「ルシファーさまは元々大天使長だったんですよね?」
「急にどうした パイモン」
「いえ、少し小耳に挟みましたので」
パイモンはルシファーに対してとても忠実
それはいいことだ
ここまでなら問題はない
「そうだな もう何千年も昔の話だ」
「ルシファーさまはやはり天界でも力のある方だったのでしょう?」
「当たり前だ 俺はこの世で最も美しく、最強の存在だからな」
「流石はルシファーさまです!」
「おい、パイモン その辺にしとかないとソイツ調子に乗るぞ」
そう、パイモンは熱狂的なルシファー信者だ
ただでさえルシファーはいつも調子に乗っているのにパイモンが加わるとさらに調子に乗ってしまう
そりゃもうノリノリだ
「ルシファーさまの栄光をただ称えているだけですよ サタンさま」
「それが余計なんだよ!あとで苦労するの俺だって分かってる!?」
ルシファーは気分がいいと天使に喧嘩を売りにいってしまう
ただの喧嘩で済めばまだいいがそのまま大戦争にまで発展してしまうこともあるので大変なのだ
「お前早く帰れよ!お前とルシファーが一緒にいてろくなことになった試しがない」
「折角パイモンが俺に会いにきてくれたんだ そんな言い方はあるまい」
「元はといえばお前のせいだろう!!」
なんだか今日はサタンの機嫌がよろしくない
「なんだかサタンさまイライラしてますね」
「言われてみればそうだな 何かあったのか?」
「アイツに会っちゃったんだよ アイツに!!」
「アイツ…」
サタンは忌々しい記憶を思い出してさらに腹を立てていた
パイモンのルシファーには何のことだか分からない
しかし、ふとルシファーは思い出した
「もしかしてベルゼブブのことか?」
「ベルゼブブ?」
「あぁ、そうだよ!」
「喧嘩でもなさったんですか?」
「ベルゼブブと話してて不快にならないやつなんていねーよ」
そう、ベルゼブブは唯でさえ個性の強い魔王のなかでも厄介な言い換えれば面倒くさい性格をしている
それでは時間を朝に巻き戻してみてよう
「ふぁー」
朝起きて大きく伸びをしたサタンの目に何かが映った
遠くの方から近づいてくる
「誰だ?」
目を凝らしてみたが距離が遠くてまだはっきりとは分からない
けれど気配でそれは魔王の一人だと気付いた
「やー!サタン!」
「げ!ベルゼブブ!」
徐々にその魔王は近づいてきた
そして大きく手を振るとこちらに向かった大きな声を上げた
その声にサタンは鳥肌がたった
既にサタンはベルゼブブに対して拒絶反応が出ていた
「久しぶりだな!」
「できればもう二度と会いたくなかったよ」
ベルゼブブはニコニコとサタンに近づいてきた
サタンは逃げようとしたががっしりとベルゼブブに肩を掴まれた
「な、何しにきたんだよ今日は」
「もちろん、我輩の武勇伝を聞かせるためだよ」
「お引取りください」
しかしベルゼブブにはサタンの声など届いておらず、既に自らの自慢話に入ってしまった
「この前、地上に行ったとき、たまたまサリエルに出くわしてな、いきなり切りかかってきたのだ 流石の我輩も一瞬怯むがすぐに部下に命を出してサリエルに反撃をしたんだ やはり我輩は部下を使う才能が有り余っているらしいな で、話を戻すとサリエルと我輩の部下との激闘が繰り広げられたんだけどもやはり所詮は魔王以下の悪魔、徐々に押され始めたんだ、そこで我輩も剣を抜き、サリエルに切りかかったんだ そのときの我輩の勇ましさといったらなかったな そして我輩は美しく、かつ勇ましくサリエルに…(これ以上続いても埒があかないので省略)」
「なげーよ!だからお前と話したくないんだ!」
「この程度で長いだと!?まだまだこれからだ!」
「解放してー!!」
サタンの悲鳴がこだました
そしてこれから3時間ほどサタンはベルゼブブの武勇伝に付き合わされた
「おっと、もうこんな時間だ 我輩はここで失礼するよ」
「あぁ、さっさと帰ってくれ」
サタンは何かを吸い取られたようになっていた
「ちゃんと客人を見送りたまえよ」
「客人も何もお前が押しかけてきたんだろうが」
「全く、だからこそ君は氷付けにされるのだよ 氷付けにされるなんて最下級の悪魔でもないだろうに、ましてや君のような魔王が氷付けにされるなんて失態以外の何者でもないね 我輩は君が心配だよ」
「いちいちムカつくなぁ!もう帰れ!」
そうして散々武勇伝とサタンの悪口を撒き散らしてベルゼブブは消えていった
ちなみにサタンは約1000年前、地獄で氷付けにされていた
サタンにはこれが最大の黒歴史だった
「あぁ!絶対アイツ殺す!!」
サタンはまた苦労が増えたのであった