複雑・ファジー小説
- Re: 魔界の魔王ども ( No.7 )
- 日時: 2011/09/12 14:02
- 名前: 御神西鬼 (ID: C.IWX95H)
前回までのお話〜
もしかしたら大天使ミカエルが喧嘩を売ってくるかも知れないという情報を聞いたサタンたちは千里眼を持つアスタロトに偵察をさせようとします
しかし、アスタロトは大変寝起きが悪いので、身代わりとしてパイモンとアリトンを向かわせます
さて、二人は槍をよけ切れるのか!(あ、目的間違えた…)
「こんなところにホントにいるの?」
「道は間違えてないですから、多分ここですよ」
二人は不安を抱えながらも屋敷のなかに足を踏みいれた
中もあまり綺麗ではなく、床は埃が積もり、天井には蜘蛛の巣、窓ガラスは長年の汚れで曇っている
二人は埃で咽そうになるのをこらえながら二階に続く階段に足をかけた
「こういう屋敷の定番って、階段が抜けるか大きな石が転がってくるかだよね」
「そんな、今時どんな漫画でも扱ってないような古典的なトラップないでしょう」
二人は冗談を言い合いながら先に進む
足元の階段は不気味にギシギシと音を立てるが落ちようとはしない
だがその代わりに階段の上の方からなにやら良くない音が聞こえた
「何か聞こえませんでした?」
「できれば聞こえないふりをしたいけどな」
しかし二人の心情を裏切り、階段の上から何かが迫ってきた
スピードを加速させながら確実に近づいている
二人の目の前にその何かが現れた
お約束の岩だった
「なんでそこは岩にするんですかね? 普通は期待を裏切りましょうよ」
「それにツッコむ暇があるなら逃げるよ」
二人は一目散に逃げた
「なんか結構ピンチじゃね?」
「結構ピンチですね」
そこでパイモンは指笛を吹いた
綺麗に指笛は高い音を響かせた
「何?なんかした」
「もうすぐ来ます」
「来るって…」
そのとき窓ガラスを蹴破り、黒い何かが屋敷の中に駆け込んできた
蹄を鳴らせながらパイモンに近づいていく
「一個、ツッコんでいい?」
「なんですか?」
「なんでこの状況でラクダ!?」
「僕の愛馬です」
「いや、愛馬かどうかも怪しいよ」
アリトンの脳内でのラクダの印象は悠々と砂漠を歩く姿しかないのだ
「あんまり足早くなさそう…」
「そんな事言ってると乗せませんよ」
「あ、そうだ今ピンチなんだ」
いきなりのラクダの登場で忘れていたが、依然背後から岩が迫っている状況だった
「もう、何でもいいから乗せて!」
「後で請求しますからね」
「金とるの!?」
ガヤガヤしながらラクダに乗り込むとラクダは岩に向かって走り出した
「ちょ、何してるの!? 自殺しようとしてるのこのラクダ!」
「まぁ、落ち着いてください 死ぬときは一緒です」
「落ち着けなぁぁい!」
ラクダは依然として岩に向かっていった
もうすぐでぶつかるというところでパイモンたちの視界が天井の近くまで上った
そして不思議な浮遊感を感じた
ラクダが岩を飛び越えたのだ
「だから落ち着けと言ったでしょう?」
「お前もちょっとは諦めてたよね」
何とか岩をやり過ごすともう一度階段に近づいた
階段はさっきの岩の重みでもう登れる状態ではなかった
「仕方ありません ラクダで二階まで飛びましょう」
「大丈夫なの いくらなんでも二階まではキツイんじゃない」
「僕はこいつを信じてます」
「志は立派だけどね」
「じゃ、頑張ってくれ!」
ラクダは少し助走をつけると二階に飛び上がった
しかし、ラクダが頑張りすぎたのか高く飛び上がりすぎたので二人は天井と頭をぶつける羽目になり二人の頭には見事なタンコブができた
「〜っ!」
涙目になりながらアリトンは頭を抑えた