複雑・ファジー小説

Re: 聖吸天淫妖 〜創造する者〜 ( No.1 )
日時: 2011/09/12 22:42
名前: コーダ (ID: vWQ1Y4kw)

 古めかしい木の小屋。
 その中はお世辞にも綺麗とは言えない状況だった。
 大量に積み重ねられた本、無造作に投げ捨てられている本。
 長時間日光を浴びて、色落ちしている本もあるほど。
 ホコリも肉眼で見えるくらい辺りに舞っていて、少し鼻で息を吸えばくしゃみが出そうな程。

「………………」

 そんな場所に、1人の少女が椅子の上で本を読んでいた。

 肩にかかるくらいの長い金髪の髪の毛で、それはとてもふわふわしていた。前髪は、目にかかっていない。
 とてもツリ目の瞳は髪の毛と同じ金色で、どこかただならぬ雰囲気を感じる。
 漆黒のドレス——————ゴシック・アンド・ロリータ(以下、ゴスロリ)を着用していた。
 そして、少女の周りには5つの人形が宙に浮かんでいた。

 聖職者、シスターの人形——————
 吸血鬼、ドラキュラの人形——————
 天使、エンジェルの人形——————
 淫魔(いんま)、サキュバスの人形——————
 妖精、フェアリーの人形——————

「ふふっ……」

 少女は幼い声を辺りに響かせて、自分の膝の上に載せている分厚い本のページを1枚めくる。

「やっぱりだめね」

 浅い溜息をして、なぜか膝の上に載せている本をそこら辺に投げ捨てる少女。
 本が床に落ちた瞬間、大量のホコリが舞う。
 椅子から降りて、辺りを見回す。

「ふふっ……でも、まだあたくしが出る幕じゃないわ」

 舌足らずな笑い声を出しながら、ゴスロリ少女はそこら辺にあった違う本を右手に持つ。

「修正作業は、酷だし」

 少女はまた椅子に座って、本のページをめくる。

 ——————なぜか、その本は1つも文字が書かれていなかった。

「とりあえず、様子を見ましょう」

 口元を上げて、一言呟く。
 少女はしばらく、何も書かれていない白紙の本を読み進める。

シスターの書:>>7 ドラキュラの書:>>8 エンジェルの書:>>9
サキュバスの書:>>10 フェアリーの書:>>11