複雑・ファジー小説

2ページ ( No.24 )
日時: 2011/09/18 20:47
名前: コーダ (ID: qwv/zAi4)

 とても平和な雰囲気を漂わせる場所——————天国。
 善の人間が最終的に行きつく、極楽な所。
 白い雲みたいな地面が覆い尽くし、それはちゃんと足で踏める。

「………………」

 そんな天国を仏頂面(ぶっちょうづら)で歩く1人の天使の女性。
 辺りを見回し、死んだ人間たちを見る。
 意外と、死んだ人間は小さな子供が多い。
 その理由としては、良いことと悪いことが判断できない歳で死んだからだ。
 天国へ行く条件。簡単に言えば悪いことをしなければ良い。
 常に良心的な心を持ち、悪への道へ行かない心。それが三途の川で評価されると行ける。

「ふむ」

 仏頂面の天使は、一言呟く。

「問題ないな」

 なにが問題ないのか分からなかったが、女性は安堵の表情を浮かべる。

 死んだ子供たちと遊ぶ天使たち——————
 天国へ行った者をお世話する人は、天使である。
 せっかく極楽へ行って、誰とも話せなかったら極楽とは言えないからだ。
 余談だが、天使は死んだ人がなるものではなく、本当に天使という種族でなりたっている。
 つまり、天国に居る死んだ者は背中に白い翼もつけていないし、頭の上に謎のわっかもない。

「さて、報告しなければな……」

 右手に持っているメモ帳を眺めて、女性はこの場を後にする。

 その表情は少々、深刻そうだった——————

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