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複雑・ファジー小説
- 2ページ ( No.25 )
- 日時: 2011/09/18 21:18
- 名前: コーダ (ID: qwv/zAi4)
「やっぱりぃ……探そうと思っている時に限って居ないわねぇ〜」
森の中からやけに色っぽい声が聞こえてくる。
草むらで隠れて獲物を待っていた獣でさえも、その声に反応する。
「こんな森林を歩いている人の方が珍しいけどねぇ……」
落胆しながら、背中の黒い翼で飛んで進むサキュバス。
黒いマントを翻(ひるがえ)して、時折見える肌がとても色っぽかった。
この世界のサキュバスは主に深い森林に生息している。
その方が、退治する者が来なくて良いからだ。
だが、そのせいで深い森林には全く人が来ないので、サキュバスも困っている。
人を襲うために、わざわざ森から出て町へこっそり出向かないとだめだから。
「町へ行こうかしらぁ……でも、町に行くと殺されてしまう危険性もあるわぁ……」
右手人差し指を口に当てて、色っぽく深刻そうに言葉を呟く。
意外と、言葉を理解して喋ることができるサキュバスは少ない。
後の者は、身振りや手ぶりで男性を堕とすしかない。
つまり、このサキュバスはある意味天才でもあった。
もっと説明すると、サキュバスは基本的に黒いマントなんてつけない。言ってしまえば、全裸である。
しかし、このサキュバスはちゃんと自分の身体を隠すマントを着用している。
その方が、逆に興奮する男性も居るからだ——————
「と・り・あ・え・ず、森林から出ないと話しにならないわぁ〜」
黒い尻尾をうねうね動かし、森から出ようとするサキュバス。
その姿を、じっと見つめる者が居るのを知らずに——————
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