複雑・ファジー小説

3ページ ( No.36 )
日時: 2011/09/21 20:26
名前: コーダ (ID: xr1in99g)

 天国の中心に存在する大きな建物。
 それは西洋の洋館を連想させる作りだ。
 大きな噴水が印象的で、目の左右には見た事のない花が咲いている。
 その花の世話をしているのは、中級天使たち。

「………………」

 その中を、仏頂面(ぶっちょうづら)で歩く天使が居た。
 右手にメモ帳を持って、水やりをする天使たちを見つめる。

「もう花の水やりをやる時間か……ずいぶん、調査に時間がかかったのか……」

 どうやら、花に水をやる時間が決まっているようである。
 仏頂面の天使が調査に行ったのはその3時間前、上級天使にしては少し時間がかかった方らしい。

「はぁ……」

 深い溜息をして、洋館へ足を進める。
 水やりをしていた中級天使たちは、仏頂面の天使を見て軽く会釈をする。
 彼女も、ぎこちない笑顔で会釈をする。

「今頃、この中では調査結果を言う上級天使たちが……」

 そう呟き、仏頂面の天使は洋館の扉を開けて中へ入る。
 調査をしていたのは、彼女だけではないということが先の言葉で分かる。

 ——————花に水やりをしていて中級天使たちが、また軽い会釈をする。

「遅刻だ、遅刻ぅ——!急がないとぉ〜!」

 やけに慌てた天使が、洋館に向かってくる。
 右手にはかなりファンシーで可愛い杖を持っていた。

「のんびりお茶をしていなければ良かったぁ〜!」

 遅れそうな理由を叫び、慌てん坊の天使は洋館の中へ入る。
 中級天使は、くすくす笑いながら花に水やりをする作業へ戻る。

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