複雑・ファジー小説

3ページ ( No.40 )
日時: 2011/09/21 22:21
名前: コーダ (ID: xr1in99g)

 たくさんの妖精が集まり、たくさんの花が咲いた町。フェアラワータウン。
 とても可愛らしい装飾で作られた家は、おとぎの国を連想させるメルヘンな感じである
 自由にそこら辺を飛びまわる小さな妖精、ピクシー。
 とても温厚で、力持ちな巨漢な妖精。トロール。
 商売上手で、色々な物を売ってくれる妖精。ドワーフ。
 実は妖精といっても、背中に蝶みたいな羽がある種族はフェアリーとピクシーのみだ。
 そんな町の中で、優雅に背中の羽で飛ぶフェアリーの女性が居た。

「さて、ゆっくりお茶でも飲みましょうか」

 お花の世話を終えて、お茶にしようとする女性。
 近くに喫茶店がたくさんあるのになぜか眼中に入れず、どこかへ向かう。
 そして、町から少し離れた所にたくさんのお花で囲まれた喫茶店を見つける。

「やはり、お茶をここで飲む方が1番ですね」

 どうやら、彼女なりのこだわりらしい。
 たくさんのお花を見ながら、ゆっくりお茶を飲むのが至福の時間だった。
 喫茶店の扉を開けた瞬間、柔らかいベルの音が鳴る。
 それを合図に、カウンターから1人の男性が現れる。

「おや、ティタさん。待っていましたよ」

 少々年老いた男性。だが、身体はとてもたくましいトロールである。
 ティタと呼ばれた女性は、窓からお花が見える席に座り、

「ルーティさん。いつもの用意できます?」
「はい、かしこまりました」

 慇懃(いんぎん)に礼をして、ルーティは店の奥へ入っていく。
 待っている間、ティタはずっと窓からお花を眺めていた。

「ティタさん。いつものダージリンとティラミスです」
「まぁ、いつもの事ですがお早いですね。マスター」
「ほっほ、マスターと言ってもここには私しか従業員は居ませんからね。では、ごゆっくり」

 ルーティは優しい微笑みを残して、店の奥へ姿を消す。
 残されたティタはゆっくりと、ダージリンを飲みティラミスを食べていた。

「やはり、美味しいですね」

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