複雑・ファジー小説

Re: 聖吸天淫妖 〜創造する者〜 ( No.74 )
日時: 2011/09/25 20:37
名前: コーダ (ID: 9H03YzTC)

 ホコリまみれの図書館とは違い、居間はきちんと清掃されていた。
 中央に木の机と4つの椅子が置かれ、その周りにはソファやキッチンと生活感が溢れる場所だ。
 天井の小さなシャンデリアが、無駄にその部屋を豪華にしている。
 机の上にはたくさんの種類の布が無造作に置いており、何か裁縫をしていたのが伺える。

 そして、分厚い本が1冊置かれている——————

「ふふっ……」

 ふと、舌足らずな笑い声が聞こえてくる。
 その正体はゴスロリ少女だった。
 両手におぼんを持って、机の上にティーカップとたくさんのクッキーが入ったお皿を置く。

「疲れた時には糖分を摂取しないとね」

 椅子に座り、クッキーを1枚食べるゴスロリ少女。
 カップの中で浮いている、ティーバッグを見つめながら黙ってクッキーを食べ続ける。

「そろそろ良いかしら?」

 ティーバッグを取り、カップの紅茶を飲む。

「美味しいわね」

 紅茶の味に満足した様子のゴスロリ少女。
 すると、机の上に上がっていた厚い本を片手に持ちながら、

「良いアイディアは浮かんでいるけど、それをどう組み込むかが難しいわよね」

 頭を悩ませながら、ゴスロリ少女は本を見つめる。

「あいつには負けたくないしね……」

 あいつ——————

 ゴスロリ少女は頭の中に、1人の人物を思い浮かべて言葉を飛ばす。

「……落ち着いたら、作業へ戻りましょ」

 クッキーを3枚くらい口の中に入れ、慌てて食べ始めるゴスロリ少女。

 ——————「本当、よくこんな根暗な場所で作業ができますわよね」

 突然、背後から人を見下すような口調と言葉で聞こえてくる。
 ゴスロリ少女はとても嫌そうな表情を浮かべながら、椅子から降りて声の主を見つめ、

「うっさい。バカチンイースト!」

 酷い罵声(ばせい)を飛ばす。

 >>76