複雑・ファジー小説

Re: 聖吸天淫妖 〜創造する者〜 ( No.79 )
日時: 2011/10/02 00:28
名前: コーダ (ID: jvWBucyN)

「だ、誰がバカチンイーストですって——!?」

 当然、声の主は罵声を飛ばされて非常に不満そうに言葉を飛ばす。

 腰まで長い髪の毛、それはとても綺麗な金髪で優雅に揺れている。
 前髪は目にかかっていて、その瞳はターコイズブルーを連想させる色。
 口調もどこかのお嬢様みたいで、かなり偉そうである。
 正(まさ)に西洋を漂わせる容姿と態度だったが、なぜか着用している物は東洋で愛されている和服。

 非常に、ミスマッチな事をする——————和服少女。

「バカチンったら、バカチンなのよ!和服で金髪なんてありえないわ!」

 ゴスロリ少女は、腕組をして目を吊り上げながら嘲笑(あざわ)うような表情で、和服少女へもっと罵声(ばせい)を飛ばす。
 さすがに、何度も罵声を飛ばされて堪(こた)えることができなくなった和服少女は、

「あなたこそ、いい歳してそんなゴスロリを着て、とても恥ずかしくて見ていられませんわ!」

 ゴスロリ少女に対抗して、自分も罵声を飛ばす。

「何よ!?こっちはちゃんと金髪でゴスロリよ!?あなたみたいにミスマッチじゃないのよ!」
「ミスマッチだなんて、そんなもの時代遅れですわ!型にはまった固定概念を持つあなたに、この素晴らしさが分からないのですわ!」
「バカチンの癖に、偉そうなことを言わないでくれる!?」

 まるで、子供のケンカだ。ただ、ここにはそれを止める者は居ないので、永遠と互いを罵(ののし)りあう形になる。

 このやりとりは、30分以上続いた。
 さすがに、2人は疲れたのか口を開けずに、ただ鋭い目で睨み続けることしかしなかった。
 すると、和服少女は机の上にのっている厚い本に気がつく。

「あら?その本……」
「っ……あなたには関係ないわ!」

 何かまずそうな表情を浮かべて、ゴスロリ少女は机の上に置いてある本を大切に持つ。
 この態度に、和服少女は高笑いをする。

「お—ほっほっほ!これは良い物を見せてもらいましたわ!わたくしも負けていられませんわね!」
「ちょ、ちょっと!まさかあなた!?」
「えぇ、最近暇を持て余していますの。たまには、競い合いも良いですわね」

 和服少女は、胡散臭い表情を浮かべながらこの場を後にする。
 残されたゴスロリ少女は、机の上に置いてあるティーカップとクッキーを持って、

「あたくしも、負けていられないわ……!」

 真剣な表情を浮かべて、この場を後にする。

 シスターの書 >>82 ドラキュラの書 >>83
 エンジェルの書 >>84 サキュバスの書 >>85
 フェアリーの書 >>86