複雑・ファジー小説

5ページ ( No.83 )
日時: 2011/10/17 20:49
名前: コーダ (ID: zdDXpDJz)

 翌朝、ブラッドラキャッスル。
 眩しい朝日が城の中を明るく照らす。

「う〜ん……狩りをするには絶好のコンディションですわね」

 窓から朝日を気持ちよく浴びるのは、長い赤髪と四角いメガネが特徴的なドラキュラ——————キーマだ。
 しかし、ここでおかしい所がある。なぜ、ドラキュラが弱点である日の光、朝日を受けているのか——————

「さて、お姉さまを起こしに行きましょう」

 キーマは清々しい表情を浮かべながら、この場を後にする。


                ○


「おはようございますわ、お姉さま」

 キーマが部屋に入って、明るい口調で言葉を飛ばす。
 しかし、お姉さまからの返事はなかった。

「お姉さま?もしかして、まだお眠りになっているのですこと?」

 キーマは意地悪そうな表情を浮かべ、お姉さまが寝ているであろうベッドへ接近する。
 そして、大きな深呼吸をして、

「お姉さま!朝ですわよ!?今日は森で狩りですわ!」

 大きな声を出す。

「う〜ん……なんだ?もう、朝か……」

 ベッドから起き上がるお姉さま——————シーマ。
 頭を押さえて朝の日差しを嫌そうに浴びる。

「まぁ、お姉さまったらドレスのままで寝ていたのですこと?」

 なんと、シーマはドレスのままで寝ていた。
 せっかくの綺麗なドレスがしわくちゃになって、とてもだらしなかった。

「全く……それくらい良いだろう?私が、どう寝ようが勝手だ」
「お姉さま……それはレディーとしていただけない言葉ですわ」

 キーマは呆れた表情を浮かべて、言葉を呟く。

「レディー?あまり気にしないな」

 この発言に、キーマは深い溜息をする。

「とりあえず、お姉さまの準備が終わらないと森へ行けませんわね」
「準備ならもう出来ている」

 シーマは近くに置いている刀を持ちながら言葉を飛ばす。

「そのドレスと髪で森へ行くのですこと?勘弁して欲しいですわ……」

 メガネを懐に入れて、この場を後にするキーマ。
 シーマはとても面倒そうな表情を浮かべて準備をする。

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