複雑・ファジー小説

5ページ ( No.85 )
日時: 2011/10/02 00:25
名前: コーダ ◆ZLWwICzw7g (ID: jvWBucyN)

 森の中を変な雑談をしながら歩く3人。
 しばらくすると、3人の目には小さな木の小屋が目に入る。
 意外と綺麗な作りで、何度もここで人がすごしているような雰囲気を漂わせる。
 窓から中を覗くと、大量の本が置いていた。

「あらぁ?も・し・か・し・て……ここで2人は夜をすごしているのぉ〜?」

 サキュバスはどこか期待している目をして、2人へ言葉を言う。

「まぁな!へへっ、夜は楽しいぜぇ〜!」

 ウルスは笑いながら、サキュバスに言う。
 ロズは苦笑して、先程の言葉を訂正する。

「ウルス、後1人居るでしょ?」
「あぁ、そうだったなぁ〜……」

 右手で頭をかきながら、どこか嫌そうに言葉を呟くウルス。
 すると、夢魔(むま)は黒い尻尾をウネウネ動かし、

「さ、3人……す、すごいわねぇ」

 なぜか驚く。
 どうしてこのような反応をしたのかは、あえて触れないでおく2人だった。

「もう戻ってきているとかっていうオチじぇねぇよなぁ……?」
「一応、ウルスだけ入ってみたら?」
「……分かった」

 了承したが、ウルスの表情はとても嫌そうだった。
 そして、生物学者は1人で木の小屋へ入る。

「どうして、1人で入るのぉ〜?」

 なぜ、3人で入らないのか疑問に思うサキュバス。
 ロズは困りつつ笑いながら、

「ちょっときつ〜い、先輩が居てね……」
「後1人は、きつ〜いのぉ?」

 きついという単語に、妙に反応するサキュバス。
 ロズは深い溜息をして、待機する。

 ——————耳に意識を集中させると、木の小屋から微かに声が聞こえてくる。
 だが、それは声というよりも叫び声と言った方が良かった。

「……ウルスは、何をやっているのでしょうか」

 再度、深い溜息をするロズ。
 サキュバスはのんびり辺りを見回していたので、彼の行動に疑問符を思い浮かべる。

 ——————すると、木の小屋の扉が勢いよく開く。

「よく来たな、歓迎する。私は地層科学者のストレイト=ハルだ。さぁ、とっとと入れ」

 腕組をして、とてもはきはきとした言葉を飛ばす女性——————ハル。

 黒い髪の毛は二の腕まで長く、前髪にはかかっていない。
 とても鋭い目つきが特徴で、その瞳は真っ赤に輝いている。
 科学者を連想させる白い作業服を着用して、女性なのにちゃんとネクタイもしている。
 そして、服の上からでも分かる豊満な胸が最大の特徴である。

「あはは……ハルさんは、相変わらずだね……」

 ロズは苦笑して、ハルへ言葉を飛ばす。

「あらぁ〜……後1人って、女性ぃ?ちょっと、期待して損したわぁ〜」

 サキュバスは尻尾と頭の翼を落として、残念そうに言葉を言う。
 すると、ハルの目がピクリと動く。

「男性ばかりだと思うな。女性の科学者だって居る」

 かなりきつい口調で、サキュバスに言う。

「あぁ〜ん!このき・つ・さ……癖になりそう……」

 身体を震わせながら、呟く夢魔。
 ロズはもう何をして良いのか分からず、頭を下げる。

「とりあえず、早く中に入れ」

 ハルはそう呟き、木の小屋へ入る。

「とにかく、中へ入りましょう」
「ええ、そうねぇ〜」

 ロズとサキュバスは、ハルに続いて木の小屋へ入る。

 3人の科学者と1匹の淫魔(いんま)。とても、ミスマッチな組み合わせだった——————