複雑・ファジー小説
- Re: 「 カイラク 」 ( No.87 )
- 日時: 2012/05/11 23:06
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: CMvpO4dN)
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怒も哀もない自分の顔に久しぶりに苛立ちの浮かぶ。さっきからだらだらだらだら左目から頬にかけて液体が落ちてくるのが鬱陶しくてしょうが無い。左手で目の下を涙をぬぐうように人差し指の第二関節でぬぐう。べっとりとして気持ちが悪い、黄色の塗料だ。痛いし臭いし鬱陶しいし気持ち悪い。最悪だろ。
自分はあの子の様子を見に行った後、監視カメラの設置をして姿を消した。監視カメラと言っても普通のカメラだと面白くないから、自分の左目をガラクタ鳥居の隙間に詰めた。原始的監視カメラ。此処からが想定外、あの子がせっかく作ったビルの雑踏に安いスプレー吹き付けながら鳥居まで来て、鳥居を着色しやがったのだ。当然押し込んだ自分の可愛い左目も油性の黄色が吹き付けられた。あの子がボクの世界から消えた後、カメラを回収して空っぽの左目用空洞にはめたら塗料は垂れるわ目は見えないわべっとべとしてるわで最悪。
取りあえず外しとくか。見えない目など不要だ、いっそのこと潰してしまおうか。
眼球と穴の隙間に中指と親指をぶっこんで、眼球をえぐり出した。目を固定していた血管のような物を爪で切断し、床へ放り投げた。ゴロン、と鈍い音が無の部屋に響く。
——眼球を潰したら、どうなるのだろう。目は充血したりするから血は通っている筈。だとしたら、潰したとたんに血がブッシュ—……だろうか?
やってみる価値はありそうだ。
ちょっとハンマーを眼球の真上に呼んで、指先でくいっと上から下へ指示を出す。忠実なハンマーは真下にある黄色の眼球を潰し、姿を消す。
あれれ。眼球は血がスプラッシュどころか、跡形もなくなっていた。
「……あー、末期かなぁ。もうすぐオハヨウ、かもね」
ふふっと、笑みがこぼれる。目ェえぐった時も何も感じなかったのはそういう事か。誰かが自分殺しちゃったかな。——まあ別に、どうでもいいや。
あの子の成長が見られないのが残念だけど、とっても残念だけど、もう流石にちょっと飽きたかな。
日本刀を首の左側に出し、人差し指で切れ味を確かめてみる。人差し指が真っ二つくらいの切れ味だ。優秀。
じゃ、また、来世で。
左から右に、すっと、割れた人差し指で指示を出した。