複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章完結!】 ( No.117 )
- 日時: 2012/06/10 16:08
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
1・バカ増加。
「いやぁー、髪フワフワですねー!」
「そないゆうワレの髪もサラサラやん!」
……なんだこれ。
「自分の髪も、派手ぇな色やなー!」
……何が起こっているんだ。
俺は目の前で、はしゃぐバカ2人を見つめた。
一方は、いつもバカっぷりを見ている赤女だ。
でも一方の男は知らん。
誰だ、コイツ。
「……触るな」
俺の赤い髪を触る男の手を払い、睨み付ける。
だが、コイツは怯まなかった。面倒だ。イライラしてくる。
「なんや、怖い顔しぃなや、しぶちんな奴ー」
今朝、俺は、カーネイジ・マーマンのことを聞きこむために、赤女をホテルに残して街に出た。
その時に、赤女は何を思ったのか、いや、俺のためになるかと思ったのか、近くの森に採取に行ったらしい。どうもコイツは何かをしていないと仕方がないようで、少しでもお金になるならとかそう思っていったのだろうが、大きなお世話だ。金のことなら心配ない。それより、何か起きたらどうするんだ。赤女は弱いから、何かあったら困る。1人で危ないことをしないで欲しい。
「……おい、赤女」
「はい?」
で、帰ってきたら赤女はこの見知らぬ男と一緒にお茶を飲んでいた。勝手にホテルに招いて。
ふざけるなよ。
「誰だよ、コイツ」
イライラしているのを感じ取ったのか、赤女が少し怯える。男が何か文句を言っているけれど、耳に入らない。やかましいやつだ。
「あ、この方はですね、」
「ちょお待ち」
俺と赤女を遮るように、男がなぜか立ち上がる。
イライラする。部外者のくせに。なんなんだよ。
……部外者? 俺と赤女だって、コイツと変わらない。何の関係でも無いんだから。なのに、俺は偉そうに。
「さいぜんよってに、雪羽ちゃんに冷たくあらへんか?」
「はぁ?」
予想外なことを言ったので、変な声が出た。コイツの言葉はなんか変だけど、なんとなく言っていることは分かる。
イライラする。
俺は組んでいた足を解いた。すぐに立ち上がるためだ。床に座っている赤女は、まだ自体が呑み込めていないようで、男を見つめている。
おい。普通こっち見るだろ。
「んなの、お前に関係ないだろ」
睨みつけてみても、コイツのクリーム色の瞳は怯まない。くそ。イライラする。
「あるやんアホ!」
いきなり叫んだ男に、ようやく赤女が焦ったように立ち上がる。
遅ぇよ。
何言ってんだコイツ。全くイライラする。
「恋人を大切にしやんって、罰が当たるんやで!」
恋人、というワードに反応して、赤女の顔が赤くなる。
何赤くなってんだ、バカ。
俺のイライラは頂点に達して、男のフワフワした、瞳よりも暗いクリーム色の髪を、わし掴んで顔に近づける。
久しぶりに、ドスの利いた声を出した。
「恋人じゃねぇよ」
ようやく男の顔に汗がにじんだ。
〜つづく〜
一話目です。
四章スタートです。
キャラが多くて困っちゃいますね!