複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章完結!】 ( No.118 )
日時: 2012/06/12 22:02
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



2・アホ注意報が届かない。


「なんでまだ居るんだ、お前は」

てっきりもう帰ったと思っていたのに、俺が朝起きたらベッドに寄りかかって赤女が作ったのだろう朝飯を食べていた。頬に飯を詰め込んでいるアホ面に、ガンを飛ばす。それなのにコイツは、昨日俺に怯んだのにも関わらず、そんなことは無かったような感じで俺に手を挙げて見せた。
と言うか床で食べるな、汚らしい。

「おはよーさん、ライアー」

赤女だな、俺の名前、いや、二つ名をこのアホに教えたのは。
呆れて、少し眩暈がした。
部屋に視線を張り巡らせると、何かの食べ残しの皿、トランプなどの遊び道具がやりっぱなしで置いてある。怒りでどうかしそうだった。何だかすっきり眠れなかったのは、バカとアホがうるさかったせいか。なんでコイツらこんなに元気なんだ。流石。頭の悪い奴は違うな。少し羨ましいくらいだ。

「昨日挨拶し忘れてたなー」

そう言うとコイツは、いったん皿を床に置いて俺に手を差し伸ばした。
どうやら、握手のつもりらしい。
俺はその手に冷たい視線を浴びせる。

「ワシ、フリーハンターの凪っつうモンや」

フリーハンターとは、ギルドなどのチームに属さない、個人で狩りを行っているハンターのことだ。
ハンターだったのか。何だか、イメージが沸かない。

「あ、おはようございます。ライアーさん、凪さん」

そこに赤いエプロンをつけた赤女がやって来た。
赤女が下げようとする朝飯の皿を、凪が死守した。俺のことを無視して口の中に掻き込む。
くそ、コイツは苦手だ。だってうるさいし、汚いし。

「そういやワレは用事あんねんってな」

凪は口の中の物を飲み込むと、ゆったりしたものから、安そうだが、それなりの防具を身に着け始めた。
赤女はすぐに目線を逸らしながら、部屋を片付けている。

「雪羽ちゃんは任せろ」

「は?」

ニコニコしながら、コイツはまた訳の分からないことを言う。コイツは予想外すぎる。だから、面倒でもあるんだよな。面倒なのは嫌いだから、どうしてもコイツを苦手だと思ってしまうのか。別に、苦手を克服しようとは思わないけど。

「やから、ぼちぼち用事済まして来いや」

着替えを済ませた凪は、赤女の持っているものを取り、自分でも片付け始める。俺もそろそろ起きなくちゃいけない。
でもまだ、凪の言っていることが理解できない。

「ワシ、これでぇも強いんや。ワレ程とちゃうねんけどな」

もう、訳分かんね。


〜つづく〜


二話目です。
凪君はずっと前から出る予定だったので出せてうれしい!