複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章→四章へ!】 ( No.119 )
- 日時: 2012/06/28 20:21
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
3・まともではないが、マシな奴。
ポカンとしているうちに話は進み、赤女が
「それでは、ライアーさん、お気をつけて」
なんて言いながらドアを閉めたところで、やっと目が覚めた。
気を付けるのはむしろお前の方だ。俺はお前に心配されるほど、落ちぶれちゃいない。
……で?
どうしてそういうわけになった? なんでアホが赤女と一緒に行く?
「いやいやいや、おかしいだろ」
1人言をしながら急いで立ち上がる。
おかしい。明らかにおかしい。
アイツ、なんで俺らとつるんでる? なんで当たり前のように仲間面してる? 友達面してる?
意味が分からない。どうして、アイツは。
どうして俺、こんなにイライラしてる?
「…………」
着替え終わったところで、ホテルから出てみたけれど、もうアホとバカの姿は見えなかった。
舌打ちをして、気分を落ち着けてみる。
うん。いつも通りでいい。アホに赤女を任せるのは癪だが、別に心配なわけじゃないし。……悪い奴じゃ、なさそうだし。
嫌いだけど、嫌いだけど、でも、別に。
「〜〜っ」
変なんだよ。最近、変だ。細かく言うと赤女に会ってから。心の棘が、引いたみたいな。どうして。赤女と一緒に行くようになってから、何が変わった?
前より、喋るようになった。考え事が増えた。ため息が多くなった。思い返しても、良いことばかりじゃないのに。それなのに、前より1日が濃い。色が濃い。無駄に過ごしていない。
昨日町で聞き込みをしてみたが、有力な手掛かりはない。
ここの近くには来てないのかな。だとしたら、どこに?
アイツ等に足は無いはずだ。食料も。食料を求めてアイツ等は人の多いところに来るはず。そしてアイツ等から逃げた方向から見て、この町かと思ったんだけどな。
ハズレ、だろうか。
何としても、アイツ等のことは止めなくてはならない。アイツ等がどんな境遇に立たされていようが、好き勝手に生きられては困るのだ。アイツ等のボスには手を出せないから、幹部だけでも捕まえてしまおう、みたいな感じらしい。
それに俺が利用されているだけ。
利用されるのは嫌いだけど、仕方がない。迷惑かけたこともあるし。恩返しってほどでもないけど。
「カーネイジ・マーマン? さぁ、それっぽい事件は無いな」
一般市民に聞いたのが悪かったのかと思い、役所に来てみたけれど、情報はない。
お礼を軽く言い、役所から出ると、俺の目は自然と1人の男を追っていた。不思議に思い、目を凝らして記憶の糸を手繰り寄せる。
あぁ、アイツは。
「アスラ」
〜つづく〜
三話目です。
突然出てきたよ、アスラ君。面倒なことしてくれるな。