複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章→四章へ!】 ( No.122 )
日時: 2012/06/16 13:55
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



6・おとぎ話、昔話。


「レッド、エイジ……?」

あぁ、ダメだ。分からない。私はなんて世間知らずなんだろう。カーネイジ・マーマンの事だって知らなかった。
カーネイジ・マーマンは4人組のグループで、とにかく危険な人たちらしい。それを追いかけているライアーは、やはり凄い人だったんだ。なんでも、知り合いに追いかけるようにた頼まれたらしい。面倒くさそうだけど、その頼みは断らないってライアーは意外に優しいところがあるようだ。そんなこと言ったら、怒られそうだけど、でも、私はそう思う。ライアーは優しい。

「まさかいな、知らんの」

凪は心底驚いているように目を丸めた。凪は仕方ない、と言ったように口を開く。何となく話したそうだったものだから、黙って聞くことにした。

「そらごっついぞー」

凪の目が心なしかキラキラしている。思ったのだけれど、私たちはこうして森の中は歩いているだけで良いのだろうか。何かしないと、お金にならない。だから薬草を採ったり、ビーストを倒して皮を剥いだりしないとな。そんなこと私にはできないけど。だって怖いし。

「遥か昔の話やー」

得意げに、凪が話し始めた時だ。
私は思わずそれを見て、足を止めた。話を遮ってしまって、なんだか悪いなぁ。

「なんでしょう……これ」

私が見ているものに凪も気が付いたようで、そこから離れた。何となく、その上に居てはいけないような気がしたのだ。私も同じように、離れる。
それは色の違う土。凪がしゃがみこんで、その土を少し手に取ってみた。そんなので、何か分かるのだろうか。
しばらくして、凪がそれを見ながら呟いた。

「これ、足跡やな」

足跡?
言葉が一瞬分からなくて、ぽかんとしてしまう。
だって、これが足跡?

「なんの、ですか?」

嫌だよ。認めたくないよ。こんな1メートル以上あるモノが、足跡なんて。しかも、こんな足跡をつけられる生物は。

「……ギガント」

しか居ないよね。
こんな町はずれの森に、ギガントが居るなんて、私は信じない。


 + + + +


「やっぱり、そうなるのか」

アスラは赤女に恨みを持っている。俺には分からない、恨み。何がどうして赤女が、アスラに恨みを植え付けたのかは分からない。しかも、アスラのことを赤女は知らなかった。そして、自覚もしていない。
どうなっているのだろう。

「……そうなる。お前には分からない。でも、」

そこで言葉を切り、俯いたアスラ。
パンをかじって、咀嚼し、飲み込んでから瞳をこちらに向けた。彼の異質な目には、もう慣れた。

「お前も、知ることになる。あの女と一緒に居ればな」


〜つづく〜


六話目です。最近書きにくいなぁ。