複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章→四章へ!】 ( No.124 )
日時: 2012/06/23 17:33
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



8・裏と表は反対で、同じ末路。


ホテルに帰ってくると、アホとバカが俺の部屋に居た。なんでここに居るんだ。不機嫌そうな顔をすると、バカが恐る恐るといった感じで、夕飯を俺にも出してきた。

「おかえりなさい……」

赤女が少し、違う。何か、違う。アスラにあんな変な話されたからだろうか。俺の赤女への見方が変わった?
赤女は何も変わっていないというのに。

「…………」

俺が赤女の声に答えないでいると、アホが立ち上がって、赤女の頭を撫でた。
へらへらと笑うコイツと俺は、多分合わないだろうな。
アホの片手には皿があって、俺の目の前に差し出してくる。鬱陶しい。思わず眉間に皺が寄る。

「ワシも手伝ったんやで。はよ食べろや、ほれほれ」

「食欲が失せた」

口をついて出た言葉を俺は隠さない。嫌味のつもりだったが、アホは気にしないようで、いつものように白い歯を見せて笑う。その顔をされると、無意味に言葉に詰まる俺がいる。なんというか、どう反応していいか分からない。人との関わりが少ないと、対応に困るんだよな。赤女は弱いし、1人で居たって話をしていたような気がするから、俺に近い。でも凪は違うのだと思う。赤女に声をかけたのは、凪の方からだったらしいから、人見知りとかそんな言葉とは程遠い男なのだ、コイツは。この性格じゃあ、嫌われてたりもするんだろうな。

「そないなめんどくさそうな顔しやんでぇー」

凪はスプーンで米を掬い上げて、ちらつかせる。赤女が作ったものより、少しべちゃっとしている。何だか、本当に食欲が失せてきた。
横では赤女が不安そうな表情を浮かべている。でも行動を起こすことはなさそうだ。赤女は、自分が連れてきてしまった凪と俺が衝突するのが、怖いんだと思う。衝突して、喧嘩をしたら、赤女は自分を責める。絶対。自分のせいでこうなったって追い込んで、俺の前から姿を消しそうだ。テンションの上がり下がりが分からない奴だから。

「イケメンなんやよってに、もっと笑えば? ワシみたいに」

凪のその台詞には頷く赤女。ますます分からない。


〜つづく〜


八話目です。
最近なんだか満足できないです。