複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【参照600あざます!三章→四章へ!】 ( No.125 )
日時: 2012/06/24 14:58
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)


9・いたずら電話。


電話がかかってきたのは、なかなか眠れずに寝返りを打った時だ。
俺はアホが起きないうちに、と思ってすぐに電話を取った。

『よぉ、ライアーか?』

名乗らずにいきなり喋り始めた男に、俺はため息を吐こうとして止めた。コイツの気分を損なうと面倒だからだと、知っていたからだ。

「……何の用だ」

さっきまでは眠たくなかったが、いきなり眠たくなってきた。ともかく、喋りたくない。コイツは。何だかコイツはどうも嘘くさくて、苦手なのだ。

『んー? あぁ、伝言だよ』

伝言、ということはアイツからだろう。アイツ、はコイツのことを、結構気になっているから。
今はカーネイジ・マーマンのことを調べているのに。同時に2つのことを頼んでくるとは。アイツはどれだけ俺のことを万能だと思っているんだ。俺だって、人間なのだから、休みたい。アホとバカの相手で、結構疲れているし。

『黄金の両腕が面倒事を起こしているらしい、止めてきて』

ゴールデンアームス。
その二つ名を聞いて思わず、眉間に皺が寄る。
あの男は、嫌いだ。むさくるしい。頭が悪い。頭まで筋肉でできているような男。あっちも俺のことを好いていないようだし。一言で言うなら、犬猿の仲。

「どうして、俺が」

『悪いな、ワタシが行ければ良かったんだが』

ワタシの部分は堅いような喋り方をするこの男。そこも、嘘くさくて。信じられない。まあ俺が人を信じることなんて、滅多に無いのだけれど。ジャルドとどっちが嘘くさい? と聞かれれば迷ってしまうほどだ。
でも、ジャルドは嫌いでは無い。基準は無い。

『少々ワタシには楽しみが増えたから、ライアーに押し付けることにしたんだ』

電話越しに笑うコイツ。不愉快だ。俺に押し付けるって、堂々と言いやがった。もう少し、申し訳なさそうにしろよ。

話を聞くとどうやら、筋肉の塊は西の草原で戦争を起こしてしまったらしい。しかも、麻薬関係で。最悪だ。それを、止めてくるのが俺の今回の仕事らしい。
すぐにしてほしいので、カーネイジ・マーマンは後回しにして欲しいと言う。
仕方なく了承して、電話を置く。

ため息を吐いて、ベッドに戻ろうとすると、アホが眠たそうな顔でこっちを見ていた。

「どないしたんや」

目を擦り、欠伸をするアホの頭に手を置いてはだけている毛布を掛けなおしてやると、アホは目を閉じた。

「……いいから、寝ろ」

俺の言葉に何度も頷いて、アホは再び眠りに落ちた。


〜つづく〜


九話目です。
ホモなんて狙ってませんよ!