複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世(略)【参照700あざます!】 ( No.133 )
- 日時: 2012/07/05 21:46
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
15・習慣化。
あぁ、めんどくさい。俺はガキが苦手だ。確信した。というか、子供では無いな。普通なら、もう字が書けて言葉が喋れてもおかしくない年齢だ。それをもうとっくに超えているかもしれない。
伸ばした俺の手を避けるように、部屋の隅に移動する赤髪。
コイツをクオが連れ帰ってきてもうしばらく経つ。一週間か。でも今だに喋べらない。飯を置いておけば、少しは減っている。こんなに痩せているのに。空腹を感じないのだろうか。そんなことも考えた。
「おい、言葉くらい、分かるだろ。ちゃんと食えよ」
無理矢理に生活させては、コイツに悪いと、クオは言う。それなら何故連れて帰ってきた。なぜクオが連れてきたのに、俺が面倒を見ているのだ。不思議で仕方がない。でも、仕方ないな。俺はクオを否定できないから。
「なぁ、どんな暮らしして来たかなんて知らないけど、もうお前は何をしても良いんだぞ」
安心させるというか、納得させようとした言葉に、赤髪は目をぱちくりさせた。赤目に見つめられて、目が痛い。
俺はそっと溜息を吐いた。
+ + + +
近辺の森に、ギガントが。森といっても、あまり人の立ち入らない、小さな森らしい。そんな森に、なぜギガントが。
ギガントは、でかい。でかくて、面倒で強い。
そのギガントがいきなり現れて、うかつに列車を発車できないらしい。線路を破壊されたり、乗客に何かあったら、大変だからだ。
俺は歩きながら、心の中の突っかかりを感じていた。
森、か。森。森な。
「んぁ?」
驚いて、変な声が出た。だって、ほら。森って。
今、凪と赤女がいる場所じゃないのか?
だとしたらまずいな。凪がどれほどの腕か知らない。いい奴、なんだろうけど。赤女を守れるのか。赤女に、いや、赤女の黒髪に何かあったら。そう考えただけで、背筋が震えた。
俺は、どうすればいいんだ。今すぐに森に行って、2人を連れ戻すのか。それがいいな。俺が、2人を助けないと。
あ、れ。
俺、いつから『2人』を助けるのが普通になってるんだ?
〜つづく〜
十五話目です。
短め。区切れが分からない。