複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.15 )
- 日時: 2012/05/09 21:02
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: LQdao1mG)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?517203
9・黒、赤を語る。
俺たちはなんで一緒にいるのか、疑問に思う。
いやぁ、それは2人の依頼なのだから2人なのは当然だ。
でもなんで2日に亘ってコイツと一緒にいるはめになったのか。
よりにもよってこんな奴と。
弱くて、情けなくて、バカで、女で。
運命?
ふざけるな。
そうだったら俺はその運命とやらを全力でぶん殴りにいく。
しかも、だ。
コイツにはさっきあげた弱い、情けない、バカ、女ということよりももっと重要な問題がある。
異常な赤好きなのだ。
最初はジャージが赤いのは問題なかったが、しばらくして何かあればすぐに俺の赤髪を褒めるようになった。
羨ましそうに見つめてくるその視線はうざったいことこの上ない。
綺麗。
そいつは俺の赤髪をそういって褒める。
素敵。
そいつは俺の赤目をそういって褒める。
その度に。
俺は。
お前の黒髪のほうが綺麗だと、お前の黒目のほうが素敵だと言いそうになる。
俺にはプライドがあるし、こんな奴は褒めたくないからいつも寸のところでその言葉を飲み込む。
俺は黒が好きだ。
それはもう病的に。
健全なる白を飲み込む黒が好きだ。
だからコートもブーツも銃も全部全部黒。
この場をかりてぶっちゃけると俺はものすごく赤女の黒髪と黒目が羨ましい。
そんなに赤が良いならどうか交換して欲しい。
その美しい黒とこの忌々しい赤を。
今直ぐにでも。
俺は赤が大嫌いだ。
汚いと思う。
だからこんな髪と目は嫌だ。
どうやら赤女は黒が嫌いというわけではないらしいが俺は黒が欲しくて赤女は赤が欲しい。
こんな好条件は他に無い。
今直ぐに交換すべきだ。
まぁ、こんなことは赤女には言わない。
いつか言う。
絶対に見失わない。
折角黒を手に入れるチャンスなのだからコイツを手放すなんてしない。
これも言わない。
だって言ったらまるで、俺が赤女に恋をしているみたいじゃないか。
……そういえば。
コイツの名前、聞いてないなぁ。
〜つづく〜
九話目ですかね。
今回は短め。
とりあえず二人の関係をまとめたみたいな感じです。
次回か次回の次回くらいに主人公ちゃんの名前が漸く出る予定です。
その回はたぶん会話文多めになるかと。
next⇒赤、黒についていく。(予定)