複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【100話超えてた】 ( No.153 )
日時: 2012/08/01 11:50
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)


33・ストップ!


「雷暝」

ライアーが、驚いている、いや、呆れているのか。そんな声を出す。知り合いのようだ。だけど、親しくは無い。
確かに。私もちょっとこの人苦手だ。なんでかなんか、よく分からないけど。でも、なんか、嫌だ。野性的な、本能的な、勘で。
白い人も私をじっと見つめて、目を見開いている。
あれ、本当に私を見ているのかな。目は、どこ。いや、いやいや。白い。目の仲間で、白い。黒目である部分さえ、真っ白。本当に白い。髪の先まで、肌まで。服まで。
……変人?

「ライアーお前、いつ女作ったんだよ。ワタシを差し置いて。本当にいい性格してるよなぁ」

雷暝と言われた人は立ち上がって、近寄って来る。そんな様子も、全部全部無視して、白い人は固まっている。私は何だか恐くて、後ずさった。
雷暝は私をバカにするかのように、笑う。不気味に。
嫌だな、この人。アスラの方が、怖くないかも。最近なんか優しいし、アスラ。
あのとき、なんで手伝ってくれたんだろう。頭がパニックになっている私たちとは違い、アスラはいたって普通で、落ち着いていた。そりゃあ凪と喋ったことは無いのだから、そんな人の死体見たって何も思わないのは普通だよね。
アスラに、感情はあるのかな。どうだろうか。ハラダ・ファン・ゴで私、いや、アスラをかばって亡くなったおじさん。あの人の時は、泣いたのかな。
私の関係で命を失っている人が、最近多い気がするんだけど。
嫌だなあ。これ。

「……止めろ、そんなんじゃない」

「あれえ、そうなんだ、ごめんね」

雷暝が、私を見て目を細める。
その目から目を離せなくなった私を、ライアーが背中に誘導する。アスラから守った日のように、私はライアーの背中を見上げた。私が嫌がっていること、分かってくれたのか。
嬉しい。なんか、嬉しい。

「ガーディアン、おいで」

雷暝が何かを言う。どんな表情をしているのか、全く見えない。
ライアーの背中に居るはずなのに、なんでか、白い人の視線を感じる。なんでだ。でも、怖くないかもしれない。どうしてだろう。
そっと、ライアーの背中から顔をのぞくと、白い人と目が合う。そうした途端、白い人が我に返ったように顔を逸らした。
分からん。
白い人は私をもう見ないで、椅子に戻る。乱れていた白いドレスを、手で払う。白い手袋をしているのかと思ったけど、違う。皮膚が白いからそう見えるんだ。

「コイツは、ガーディアン。よろしくな。ガーディアン、コイツはライアー私の友達」

「雷暝……止めろ。……ライアー久しぶりだな。何の用です?」


〜つづく〜


三十三話目です。
何処で切っていいかわからなかった!!!