複雑・ファジー小説

Re: 赤が世(略)【100話超えてた】 ( No.155 )
日時: 2012/08/18 20:07
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
参照: http://ひさしぶりにこっち


35・赤を認めない白。


「……ライアー」

この男の保護者、というより管理者とは、古くからの友人である。友人という言葉は適切ではなく、もともとは私がアイツに興味を持ったからだ。
クオとユコト。アイツらのする事は、意味が分からない。アイツらが動く理由は、利益ではない。ただの興味関心。子供のように世界全てに興味を持つクオに、ユコトがすべてを与えた。
すべてを知るための権力。すべてを理解する頭脳。
クオにそれを養ったユコトは、天才である。もちろん、悪い意味で。
その2人が私を訪ねてきたのは、いつだったか。
キラキラした目で、クオが私に聞いてきたのは、レッドエイジの事。
レッドエイジ。思い出したくも無い、忌々しい記憶。レッドエイジで世界中を混乱に陥れたのは、たった1人の魔女だった。少しだけ、魔力に恵まれた、女。彼女が、多くの人の命を奪った。歪んだ愛に捕らわれただけの、女。そ
いつがすべて悪いのに。
そいつを拝め、信頼し、崇拝する。そんな輩が最近増えている。あの時代を再び起こして、世界を変えようとバカな考えを起こしている奴らが。
そして、私の白い城の中で黒い影のようなガーディアンの頭を撫でている男。雷暝。コイツも、その中の1人。
早く掃除しないと。コイツは厄介だ。
ただ流行と感じてレッドエイジを起こそうとしている奴らとは違う。コイツは、考えて、やろうとしている。レッドエイジが何か。それを理解して、起こそうとしているんだ。

「……ダメなのは分かってる。でも、お前しか頼む奴、居ないんだよ。あんたしか、居ないんだよ」

ライアーが震えている。私に縋っている。
良いなぁ、この感じ。私が断ったら、ライアーはどんな絶望的な顔をするのだろう。まぁ、人を裏切るような行動は、私はしたくない。
クオとユコトは、嫌いではないから。苦手ではあるが。
あの2人は、どうも分からない。考えていることと、行動の意味が。

「……良いでしょう」

ライアーの隣の女も、明るい表情になる。同時に体の力が抜けたのか、その場に座り込む。慌ててガーディアンが背中を撫でた。雷暝は笑っている。
ライアーは頭を下げた。

「ごめ、ん。……ありがとう」

「良い。気にしないでくれ。雷暝、お前の始末はまた今度に引き延ばす。私が与えた時間を、噛み締めるんだな」

「そりゃあないよ、ノーベル。折角会いに来たのに。それにさ、トリシタンはワタシの手元にあるんだぜ?」

雷暝はそういって、ガーディアンとともに扉に向かう。
最後に、女の肩を触って、出て行った。
大丈夫だ。
トリシタン。奴も、雷鳴も。すべて私が処分する。
そして、絶対にレッドエイジは再生させない。

私は、そのために生きてるといっても過言では無いのだから。


〜つづく〜


三十五話目です。
おひさしぶり。
コドクビワ、キミイゾン。を完結させてから更新しようと思っていたのに、なかなか終わらないのでさすがに感覚を忘れそうなのでかきました。