複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.173 )
- 日時: 2012/09/22 21:19
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
9・姉のような女。
「アンタ、もしかして疲れてる?」
図星だった。正直、頭が混乱していて、何かを考えるとか休むとかに手が回らなくて、ずっとゆっくりしていない。
凪が死んで、赤女も傷ついて。それの全てを、俺が何とかしなくちゃいけなくて。俺一人が大変ってわけじゃ無いけど。赤女もいろいろ大変なはずだ。俺みたいな情けない奴に振り回されて。それでわけも分からないうちに環境がどんどん変わっていくんだから。
アイツにはいつか、俺が何で赤女を連れているか言わなくちゃいけない。その時は、その時だ。
俺が黒髪になりたい理由を言わなくちゃいけない。
「……あぁ」
「やっぱり。ちゃんと休みなさいよ。雪羽も心配するわよ。あたしに気付かれる程度じゃ全然ダメ」
アンタだから、ミーニャだから気が付いたんだと思うんだけどなぁ。
ミーニャは鋭い。人のことを気遣える人間だ。良い保護者みたいな感じがする。
凪、みたいだ。
ミーニャは心配そうに笑いながら、腕を組んだ。
だから、どうやってぶら下がっているんだろう。結構気になる。
「じゃ、体を壊さないように。あたしまだ仕事あるから。何かあったら……力に、なるわよ」
「……俺も」
俺の言葉を聞いて、頼りないわねなんて言ってからミーニャは窓を閉めて姿を消した。
俺は窓に少し隙間ができていたので、ちゃんと窓を閉めてから、壁に背中を預けて座り込む。汚いけど、そうしたい気分だった。
ミーニャに言われて、初めて感じる肉体の疲労。精神の疲労。俺は疲れているんだ。やっと実感した。息を大きく吐いて、考える。
これからのこと。
アームスのところに向かう。アイツの目を覚まさせて、問題を解決する。そして、その後、カーネイジ・マーマンをどうにかする。今こうしている間にも、奴らは好き放題やっているはずだ。なんでも、奴らは奴らを管理していた機械が壊れた隙をついて、施設から逃げ出したらしい。
その程度の情報しかクオはくれなかったけど、とにかく悪い奴らみたいだし、人をこれ以上殺されたら困るから、早く何とかして欲しいらしい。
俺は奴らに情けをかけるつもりはない。その必要もない。俺はただクオのお願いを聞くだけ。
「ライアーさん」
赤女の声がして、ドアを方を向くと、ドアを少し開いてコッチを見ている赤女がいた。
心配そうに俺を見ている。そうだよな、ミーニャも言っていた。あんまりコイツを心配させたくない。
俺は立ち上がって、ベッドに腰掛けた。
「終わったのか」
「はい。ライアーさん、大丈夫ですか」
早速心配の言葉を言われて、ドキッとした。
俺は赤女をしっかりと見つめて、首を縦に振る。
「大丈夫だ。心配するな」
〜つづく〜
九話目です。
雪羽も久しぶりw