複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.175 )
- 日時: 2012/09/27 18:11
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
11・私のような貴方。
私ははっきりそう言った。私は、じっくり考えながらライアーについて行く。
何だか、勇気を貰った気分になっている。
クイーン・ノーベルは凄い。だって、人の命を預かって居るというのに、あれだけ人を安心させる事ができる。自分の魔術の腕を信じている。自分自身を、心から信頼している。そんな私とは全く違うクイーン・ノーベルを見ていると、勇気を貰えるような気がした。
だから、間違っているとか関係なく、私ははっきりとそう言い切る。
考えて考えて、結論が出てから、ライアーに自分の意思を伝えよう。離れるか、そうじゃないのか。
私の顔を見て、安心したようにため息を着いたライアー。そして、絡めていた指を落ち着かせて、私をしっかりと見据える。
良かった。安心させることができた。納得させることができた。私にしては上出来じゃないか。
「今から、ちょっと顔見知りのハンターのところに行く」
今の状況をまとめてくれると、すごく助かる。頼りになるときは、ちゃんとなる人だ。
人との付き合いはちょっと雑だけど。
「黄金の両腕。そいつが何だかもめ事を起こしているらしいから、止めるために。良いか?」
私の目をじっと見つめる、赤い目。私はそれを見ながら、頷く。
ここまで疑問は無い。
ゴールデンアームスは、少しだけなら聞いたことがあるかもしれない。ちょっと危ない人で、裏の会社とかに顔を聞かせている人だという話もある。それから、短気で、単細胞だという話もあるようだから、良い人ではなさそうだ。
少なくとも、私は良い印象は受けない。
「……とにかく、今夜は休もう」
珍しく長く喋るライアーの言葉を聞き終わってから、はっとする。
白い窓の先には、星空がある。
もうこんな時間だったのか。無理矢理に疲れを感じないようにしていたせいか、眠くない。体の中の時計が狂ってしまったようだ。
私は急に眠気を感じて、目を擦る。
「分かりました。ライアーさん、ありがとうございます」
「……あぁ」
謝らないのには、理由がある。
本当は謝りたい。この場で土下座をした。私が悪いから、全部。凪が死んだのも、全部。
でも、ここで謝ったら、ライアーを傷つけてしまいそうだったから。
私たちは、2人で同じ苦しみと情けない気持ちを持っている。どっちが悪いとか関係なく、どっちも自分が悪いと感じている。
だから、謝ってはいけない。謝りたくても。
どっちかが謝ったら、片方が死んでしまうくらい、自分を責めるから。
「じゃあ、おやすみなさい」
「ん」
〜つづく〜
十一話目です。
頑張ります。