複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.224 )
- 日時: 2012/11/17 11:38
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
57・思い出のようなトラウマ。
アスタリスクが私に嘘をつくことは明白だった。だが、本当に、そうなのか。これは契約だ。私がカーネイジ・マーマンの四人を探し、そしてアスタリスクが私の知りたいことを答える。
私にとって、赤き時代はどうでも良いことだ。雷暝辺りは赤き時代に執着して居るらしい。
赤き時代について詳しく知っている人は、もう多くない。私も知らない。
だが、アスタリスクはどうなのだ。
アスタリスクを作ったのは。
「お前を、アスタリスクを作ったのは、誰なのだ?」
アスタリスクの点滅が、消える。ピカピカしていたが止まり、そしてまたすばやく点滅を始めた。
一瞬戸惑ったのか、それとも考えたのか。さっきより早い点滅になった。
光の色は、赤色だ。
怒りじゃない。多分、喜びとか。負の感情ではなくて、明るい感情だろう。
アスタリスクには、感情がある。本当に、すごい人工知能だ。これを作ったのはきっと凄い科学者だともう。
今はもう魔術に頼りっぱなしで、誰も科学を発展させない。魔術を発展させるのも、重要なことなのに。それを分かっていない人間が多すぎるなんだ。科学で魔術を発展させるのは人間しかいない。今、有名でちゃんとした活動をしている科学者は何人いるのだろう。
知っている限りでは、数年前にレジルと言う科学者が居たはずだ。だが、そいつの名前も最近耳にしない。
死んだのかな。詳しくは知らない。そっち方面には詳しくない。
私の専門は魔術だ。科学ではなくて、魔術事態で魔術を発展させている。
自己満足でやっているだけなのだが、それが結構評価されているおかげで私の顔は広い。
「……アスタリスクを作ったのは、アスタリスクだよ」
大真面目な声だ。嘘じゃない。いや、逆に嘘なのか。いや、違う。嘘じゃ無い。これは本当のことだ。
アスタリスクを作ったのは、アスタリスク自信?
一体、どうやって。
いや、そんな話なんか聞いてことがない。
「アスタリスクがまだ人間だったころ、その世界は赤かったさ」
「……アスタリスク、貴様……まさか」
赤い光が目に痛い。笑っているんじゃなかった。この光は、恐怖。恐怖なんだ。アスタリスクは、思い出しているんだ。その、アスタリスクが人間だった頃のことを。
アスタリスクは、そして赤という色に怯えている。そんなに、酷い時代だったのか。赤き時代というのは。
それを。アスタリスクさえも怯える時代を、繰り返そうとしているのか。雷鳴は、知っているのか。アスタリスクさえも怯える時代だということを。
まさか、知っている上で目指しているのか。あの時代を。
「ああ、そうさ。そうとも。アスタリスクは生きていたよ。赤き時代を生きていた」
赤き時代を生きていたのか。アスタリスクは。嘘じゃない。嘘じゃないと信じたい。
アスタリスクはそれ以上を言わなかった。
まるで死んだように、何も語らなかった。
〜つづく〜
五十七話目です。
アスタリスクの一人称はアスタリスクです。ややこしい。