複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。【200話到達しました…】 ( No.239 )
- 日時: 2012/12/13 18:44
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
- 参照: http://id24.fm-p.jp/456/yayuua/
71・捨て身のような魔術。
魔術をかんだのは、正義のためだ。剣術だけではなく、魔術にも手を出しておいた方が、いろいろと有利になるから。
だけど、私に魔術の才能はあまりなかったので、さほど大きい物は使えない。
だが。
私には私がいる。私がいて、この私を差し出す事に、私は何も抵抗を抱かない。
だから、私は危険な魔術を躊躇いもなく発動することができる。
召喚魔術。
アンダープラネットに住むアンダープラネッターを、地上に引きずり出す魔術。
それは危険を伴う。引きずり出す際に、自分もアンダープラネットに連れて行かれる危険があるからだ。
私はそれを恐れない。それが私の強さであり、正義だ。
黒髪で紳士風の男は、私がしようとしていることに気が付いて、目を見開いていた。
意外か。
そうだ。そうやって私の行動に驚いているが良い。
気持ちが良い。私の行動で、ここに居る人間の運命が変わっていく。
私の運命は、ずいぶんと前に変わった。私は間違ってなんか居ない。
私が正義だと思う道こそが正義であり、他人が決める正義になんか私は従わない。
「声、声wokike」
アンダープラネットには深さが存在する。
強い魔力を持つ者は、より深いプラネッターを呼ぶことができる。
詠唱をする声が、アンダープラネットの深いところまで、届くからだ。
私の声は、アンダープラネットの入り口辺りまでにしか、届かない。それが悔しくて仕方がないけれど、諦めるしかない。
魔力を強くするためには、もう薬とか、そういうものに頼るしかなくなるからだ。
そんなものに私は頼らない。自分でどうにかできないものにしか、私は頼らない。
私自身が正義だから。それは絶対に変わらないことだ。
「清、汚reshimonoyo」
私が見詰めた先に、巨大な魔方陣は出現する。
青白く光を放つ円。それに気が付くものはきっといない。
巨大すぎるからだ。
たくさんの人間が争っているすぐそば。
それに向かって、レッドライアーが走り出した。何かが起こると確信したらしい。
だが、遅い。
私は精神を集中させる。アンダープラネットに体を持って行かれないように。
「解ki放te————rin」
私が名前を呼ぶと、魔方陣から白い壁のようなものがせりあがってくる。
それを見て、動きを止める私の部下や、ギャングの人間。白い、はんぺんのような、薄い長方形。縦になっていて、薄い部分の方に、赤い線が入りそれを挟んで左右に赤い目。表面のいぼのような突起。
rinは、アンダープラネットの門番だ。
アンダープラネットの一番浅い場所に居る、アンダープラネットを守るアンダープラネッター。
私は口角を釣り上げた。
「さぁ、行くよ」
〜つづく〜
七十一話目です。