複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.255 )
日時: 2012/12/15 20:35
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)



4・I will close the mouth which cannot tell a lie gentle to.


ガーディアンは、俺の質問に気まずそうな顔色を作った。
分かりやすいなぁ。これだから可愛いんだよ。コイツは。
それで、殴りたくなる。傷つけたくなる。裏切りたくなる。依存させて、ボロボロにしたくなる。
そんなことを考える俺と、雷暝様はきっとどこかが似ているのだと思う。それは光栄な事だ。だけど、いけないことだと思ってもいる。
ガーディアンは、物じゃない。決して、モノじゃないのに。それなのにそんなことを考えてしまうなんておかしい。
俺たちは狂っている。雷暝様に壊されている。

たった今連れてきた赤い女。なぜか変な感じがする変な女。あれが何で重要なのかわからない。
あんな馬鹿そうな女を雷暝様が求めている。
最近の雷暝様はご機嫌だ。
何かが起きる。何かは分からない。分かろうなんて思わない。雷暝様が考えていることなんか分からない。分かるはずもない。
あの人が、何か起こそうとしていることは確かだ。
多分、世界的には良くないこと。

「別二、なんでもないヨ……」

俺は少し身をかがめる。背の小さいガーディアンの視線に合わせて首を傾げる。
すると、ガーディアンの瞳が少しだけ潤んでいることが分かった。頬に殴られたような跡。それと、唇が切れていること。殴られたことは確か。
なのに俺には話したくないのか。なるほどな。
なんでだろう。俺に心配を掛けたくないとかそういう感じだろうか。

「なぁ、ガーディアン。レジル何処に居るかわかるか?」

ガーディアンは、少しだけ哀しそうな顔をした。もっと心配した方がよかっただろうか。
俺はガーディアンの黒い髪を撫でてあげた。猫のような硬い髪。指に絡めたりしていると、時間を忘れそうだ。
でも俺には仕事がある。雷暝様の機嫌を損ねてはいけない。だから早くしないと。
ガーディアンにはあまり仕事を持っていない。ガーディアンの仕事は雷暝様の側に居ること。それで機嫌を取ることだ。

「ア、えっト……研究室に居たヨ。ヒダリくんはロムちゃんと一緒二、雷暝様のところに居ル」

たどたどしく質問したこと以外にも答えてくれた。

あの二人は雷暝様に怒られて居るのだろう。でも確か、ヒダリが全ての責任は自分にあるって言ってたような気がする。だからロムはいかなくても良いはずなのに。
結局なんだかんだ言って仲がいい二人だ。
コンビネーションも良い。俺は基本的に一人で行動するから、あの二人は結構すごいと思っている。

「ありがとう、ガーディアン。なぁ、あんまり無理するなよ。俺のことも頼ってくれよな」

「ソウガくんは優しいんだネ。ありがとウ」

目を細めて笑うガーディアンの肩を叩いて、歩き出す。
レジルに早く会いに行かないと。赤女とパルが逃げ出さないうちに。

俺は、優しくなんかない。
そう言うつもりだったけど、ぎりぎりのところでの飲み込んでおいた。

優しい俺で居ようか。
もう少しだけ。負けるまでは、優しい俺で。


〜つづく〜


四話目です。
頑張りましょう。なんだか熱っぽいです。