複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.280 )
日時: 2013/01/12 16:03
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)



27・To the moment which changes the world.


「そうか。ありがとうな、ソウガ」

雷暝様は楽しそうに言ってソウガの紺色の髪を撫でた。
その時にガーディアンにお礼を言わなかったのも雷暝様の性格が関係している。
ソウガと一緒じゃないところを見ると、一人で二人の世話をしているのだろう。
ガーディアンはそういうところはまだ雷暝様に汚されていない。
いつかガーディアンは何も考えられないくらいに雷暝様に汚されるのだろうか。
それは少しさびしいかもしれない。私はそう思うけれど私の言葉は雷暝様に届くことは無い。

「さぁてと、みんなでゲームの準備をしよう。あぁ、みんながやってくるのが楽しみだな」

雷暝様はここまで頑張ってきた。
世界を変えるために、レッドエイジを再び起こそうとしている。そして今それがかなおうとしている。
もしかしたら雷暝様は迷っているのかもしれない。誰かに止めてほしいのかもしれない。だからレッドライアーやカーネイジ・マーマンを招待しているのかもしれない。
もしそうなら私は許さない。
雷暝様を止める事なんか許さない。雷暝様は自分がしたいことをしている方がいいんだ。
誰も雷暝様を止める権利なんかない。雷暝様はずっと一人なんだ。ずっと一人だった。これからも一人だから。
雷鳴様の世界を共有できる人間なんか何処にもいない。

「……そうですね」

レジルは言いながら立ち上がる。
レジルはどう思っているだろう。このままじゃいけないって思っているんだろうか。
このまま、世界を滅ぼす時代を起こすことがいけないっていうだろうか。自分の思っていることを言えなくてもどかしいのだろうか。

「世界を変えよう。ワタシが変えるんだ」

雷暝様は楽しそうに手をたたく。

レッドエイジがどれほど恐ろしい時代だったのか私は知らない。
人がたくさん死んだとは知っている。
そしてこの世界が変わったのだ。
世界が変わって、そしてまた腐り始めている。
そんな世界をまた帰る。
変えるためにはもう一度レッドエイジを起こすしかない。
雷暝様の意見に私は逆らうことはできない。

「今回も負けるなよ。ワタシを失望させるな」

「わかっています」

私とレジルはほぼ同時に答えた。
分かっている。私達は負けたら終わりなんだ。負けた途端、私たちの価値はなくなる。
私たちはそれでしかない。私たちはそれで満足しているはずだ。

私は部屋を出ていく雷鳴様とレジルの後を追った。
ヒダリは今どこで何をしているのだろうか。無事だろうか。
私はまたヒダリに助けられてしまった。
私は一人では戦うこともできない。

「楽しみだな、もう少しで世界が変わるんだぞ」


〜つづく〜


二十七話目です。
掘れているかな?掘れているかな?