複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.289 )
日時: 2013/01/25 18:19
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)



36・It does not die in order to live.


息をのんだ。
必死になって口を開いた。
マリンブルーの足が俺の反応を見て背中から離れる。腹にかかる圧迫感がなくなったので、背中で縛られている手をひねって逃れようとしたけれど、やっぱり外れなかった。
もがく俺の様子を楽しそうに眺めるマリンブルーの目。俺はそれを睨み返すが、それが全く効果がないことは理解していた。
それでもやめる事なんかできない。
ロムという女の方は戸惑っているように視線を彷徨わせてはいるが、マリンブルーを見る方が回数が多いのでつまりはそういうことだろう。
マリンブルーには無いのかもしれないが、この女には少なくとも仲間の意識はあることになる。
人でなしばかりが集まった連中ではないのかもしれない。
でも俺はコイツ等に同情なんかしない。
俺と、雪羽。
この二人で何か起こす事は間違いないのだ。俺がここに居る理由は何となく想像できていた。

俺が、母さんの子供だから。

母さんは世の中ではのけ者扱いで、どちらかと言うと悪者ってみられることの方が多かった。
しかし、それと同時に母さんの意見に賛同する人もいた。
多分、その中の一人が雷暝とか言う変態なのだろ思う。雷暝がしでかそうとしていること。
それは、母さんがしようとしていたこと。
レッドエイジの復活。あの時代の再建。

俺は背筋が凍る思いを味わっていた。
自分が傷つけられる事を想像しているからじゃない。銀たちが自分のために傷つくところを想像しているからじゃない。それもないとは言い切れないが。
クイーン・ノーベルが母さんを封印したのなら、母さんは封印される必要があったからだ。
そういうことなら。俺は母さんの子供だけど。それを誇りに思っているけれど。
でも、でも、俺はそれ以前に俺だから。俺が望んでいないことをなんでしなくちゃいけないんだ。
俺が望むのは、銀たちの幸せなのに。
それだけなのに。

「……銀たちは負けない」

「……へぇ? 面白くない冗談を言うんだね」

マリンブルーはしゃがんで俺の胸ぐらを掴んだ。俺を引っ張り上げたマリンブルーはそのまま俺に顔を近づけて来る。
俺はマリンブルーから目を離さなかった。やっとの思いで床に足をつけて、マリンブルーの靴を踏んだ。
俺の行動が気に入らないのかマリンブルーは顔をしかめている。

負けたら死ぬ。俺たちは、負けると死ぬ。
なら、勝つしかない。そして、銀たちは負けない。
雷暝が仕掛けたゲームに銀たちはきっと乗っかる。
そして俺を助けに来る。
雪羽に仲間はいるだろうか。でも俺が居なくなったら雪羽だけいても役に立たない。
なら、大丈夫だ。
銀たちが負けないのなら、俺たちは助かる。

「ソウガ、それ以上は怒られるよ……?」


〜つづく〜


三十六話目です。
パルはソウガの名前を知っていたっけ?
憶えてない!!!!(゜ω゜*)!!!!!!!