複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.291 )
- 日時: 2013/01/27 12:22
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)
38・Peaceful resolution.
みんなで歩き出した。
そんな俺たちの視界の先に、三人組が居るのが見えた。
俺は思わず足を止めるが、ジャルドとカンコは迷わず俺を抜かしていく。心配そうに燕が俺の顔色を探って足を止めてくれた。アスラも同じくだった。
俺と行動を一緒にする意味が分からないのかジャルドとカンコが不思議そうに振り返るが、俺がその三人組を指さすのを見て同じように行動を止めた。
日光にさらされてきらきらと光る銀髪と、真ん中で髪色が沸かれた短い髪。
そして、オレンジの色素が少し入った茶髪を二つ結びにした小柄な少女。
カーネイジ・マーマン。
先ほどまで一緒の戦場で戦って来た二人と、そしてかけていた一人。
もう一人のパル・トリシタンが居ないことに気付いたが、三人もそろって居るのだ。
ここで戦うか?
いや待て。どう考えても赤女が先だ。
俺はできるだけそいつらを避けようと思った。
だが、燕が突然口を開いた。
「アシュリー! お前、どこ行ってたんだよ!」
「ばっ……!」
出来るだけ刺激しないようにしようと思った矢先だった。その行動にジャルドもカンコもアスラも目を見張った。
アシュリーと知り合いだったのか。というか普通声を掛けるか。コイツバカだ。赤女を思い出す。
燕の頭をたたいて叱ったのはジャルドだった。そして怒られた理由が分かっていない燕の前に腰を折って視線を合わせる。
「アイツ等はカーネイジ・マーマンだぞ! 殺人鬼なんだよ!」
「え? だってあいつはおれたちと一緒に戦ったんだぜ?」
叩かれた場所を手で押さえながらジャルドに反抗する燕をよそに、声を掛けられたアシュリーと仲間の名前を呼ばれた残り二名が振り返って着た。
やってしまった。もうこれは避けられない。
俺というか、俺の赤い髪を見て明らかに達羅の表情が歪んだ。アシュリーはそれに気が付いていないのか燕の姿を見て驚いているようだった。
何やらあちらも緊迫した空気を醸し出していることに疑問を抱く。
何かあったのだろうか。
俺たちはとりあえず距離を開けたままお互いの動向をうかがった。
「悪いけど!」
達羅が真剣な表情を作ったまま俺を睨んでくる。燕は自分がやったことにようやく真剣みを感じたようだ。
お互いから発せられる殺気に身を振るわせる。アスラもいつでも飛び出せる勢いの殺気を放っている。
心配は無い。大丈夫だ。
大地絶叫を使って体力の消費が激しいカンコに頼る訳にはいかないし、なんだかんだ言ってアスラも負傷しているわけだから戦闘は避けたい。
何よりも、俺たちはカーネイジ・マーマンに構っている暇はないのだ。
「俺たちはお前らに構っている暇はないんだ! 今は攻撃しないから、攻撃しないで欲しい!」
〜つづく〜
三十八話目です。
合流!