複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.294 )
- 日時: 2013/01/28 18:33
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)
39・It is an important part and he is a friend.
「なっ……!」
そういってさっさとその場を去ろうとするやつらに絶句する。
なんでか俺たちがアイツ等に構いたいみたいにとえられて居るんだ。気に入らない。
俺は足に力を込めて達羅に駆け寄って首根っこを掴もうとした。しかしそこで隣の髪の色が半分で別れている男、ムーヴィが達羅の腕を引いたのでそれは失敗した。
穏便に事を済ませようとして居るのに何でそんな行動をするんだとその瞳が語っている。達羅も驚いたように飛びのいて俺を睨みつけた。
俺は自分の行動に驚いた。もう少し落ち着いた判断ができなかったんだろうか。
アシュリーはおどおどしているが達羅とムーヴィのことを信じているのか比較的落ちつているようだった。
アスラとジャルドとカンコ、そして燕が俺の側に駆け寄ってくる。お互いに大した殺気を放っているわけでも無いので戦いを避ける形にはなりそうだ。
何やら急いでいる様子のカーネイジ・マーマンに俺は首をかしげる。俺たちを無視して歩きだそうとするカーネイジ・マーマンの足取りと俺たちが行く場所が一致している。
「お前ら、どこに行くんだよ。そんなに急いで」
何となく口に出しながら雷暝の基地の姿を思い出す。
達羅の顔色がムーヴィが覗っている。すべての返答の責任を達羅に任せているらしい。
これだけお互いを信用できるだけの能力があることを知ってからは、コイツ等を消すこと躊躇ってしまう自分が居た。
人間味の溢れる奴らなんて言葉を使うべきではない。なぜならコイツ等は人間なんだから。アスタリスクにいじられたといっても人間は人間で、俺に消す権利は無い。
でもクオが言ったから。
俺を育ててくれたクオが言ったから。俺に生きる術を、進む術を教えてくれたクオが俺に命令したことだから。望んだことだから。
だから俺は嫌なんて言えない。言いたくない。
「俺の仲間が……パル・トリシタンが連れ去られたんだ」
その単語に反応したのは俺だけじゃ無い。ジャルドもカンコも、そしてアスラも反応をした。
パル・トリシタンが誘拐された。それはいちいち考える事態じゃない。カーネイジ・マーマンのうちの一名が誘拐されたという事実に驚いたわけだが、何か言いたげにしているアスラは俺たちとは事情が違うらしかった。
喋らせてあげたいところだが、今はカーネイジ・マーマンの話を聞く方が先決だった。
「雷暝っていう男に連れ去られたんだ。だからお前らに構っている暇はない。早く助けに行かないと。大事な仲間なんだ。危ない目に合わせたくない。死なせたく、ないんだ。……頼む」
〜つづく〜
三十九話目です。
パルは幸せ者ですね(´・ω・`)