複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.296 )
- 日時: 2013/02/02 17:11
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)
41・Each existence.
「わかった」
言いつつも一応みんなの表情を確認すると、アスラはため息を吐いたが他は別に不快そうな顔はしなかった。だからは俺はその条件をのむことにした。きっと問題ない。
カーネイジ・マーマンは人を殺しすぎている。だから排除してほしいとクオは俺にお願いをした。だから俺はしなくちゃいけない。クオの言うとおりにしなくちゃいけない。
俺が居なくてもユコトが居る。そう何度も言おうと思った。でも言ってしまったら俺の居場所がなくなりそうだった。
それにいったらきっとクオは俺を叱ってくる。それにユコトも不機嫌になる。
ユコトはクオにしか基本的に興味を示さないけれど俺のことも少しだけなら気遣ってくれる。ユコトが好きなクオも俺のことを大切にしているし、大切な人の大切な物をないがしろにするようなやつじゃないから。
俺の返答にアシュリーは意外そうな顔をして、なんでか達羅も少しだけほっとしたような顔をした。そして俺に右手を差し出して来る。それを見てムーヴィが不愉快そうな表情を作ったことにはこの際触れない。
俺は達羅の手を握った。
かすり傷が目立つ掌。きっと達羅の体はこんな傷でいっぱいなのだろう。
コイツ等は悲しい人間だ。殺さないとやっていけないようなことがあるのだと思う。でも俺は容赦しない。したくない。
コイツ等はきっと俺に同情なんかされてもうれしくないだろうから。
だから俺はコイツ等と敵でいる。
ずっと敵でいる。
「よろしく、ライアー」
「こちらこそ、カーネイジ・マーマン」
彼らの総称を口にすると達羅は俺の手をぎゅっと握ってきた。それだけで骨が軋む。やはりこいつは強い。
ぐんと達羅が顔を近づけてくる。彼の不思議な色合いの瞳が目の前に広がった。彼は俺よりも少し背が低いので俺は少し屈む羽目になっている。
急ぐ必要があるのだが、コイツはどうしても俺に言っておきたいことがあるみたいだった。
彼はすぐに口を開いた。
「俺は達羅銀孤だ! こっちがムーヴィで! 紅一点なのがアシュリー!」
俺は頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。
そんなことは知っている。彼らの情報はたいてい耳にしている。知らない事は、なぜコイツ等がアスタリスクの手の中にあったかということだ。
何故、自分が破滅ことを知っていたはずなのにアスタリスクの手の中に転げ落ちていたのか。
俺はそれを知らない。知りたいとは思っているけれどそんなことは面と向かって聞けることじゃなかった。
「だからっ! 俺たちはカーネイジ・マーマンって名前じゃないから! そこんとこ理解してろ赤髪!」
〜つづく〜
四十一話目です。
新しいファンタジーを考えたんですけどさすがに体力が持たないので落ち着いたら始めたいと思っています。