複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.303 )
日時: 2013/02/11 10:22
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: KRYGERxe)


48・It seems to be the previous night of a party.


お前は間違ってなんか居ないよ。ずっと願ってきたことじゃないか。世界を変えてやるんだろ。レッドエイジを再び巻き起こすんだ。
すべてを変える色、赤。それで世界を浄化してやるんだ。遥か昔に、世界を染め上げて世界を変えた色。再び起こせば世界が変わる。もっと素晴らしいものに変わる。
ワタシはこの世界が大好きだ。だから変えてあげないと。もっと暮らしやすいように。世界が息をしやすいように。
今解放してあげるから。世界を守ってあげるから。
だから安心していい。
ワタシがすべてを変えてあげるから。全部終わらせてあげるから。

でも、なんでライアーたちをここに招いたのか自分でもよくわかっていない。誰にも言わずにたった一人で成し遂げればよかったものを。
それじゃあちょっとつまらなかった。物足りなかった。自分のしようとしていることを誰かに見てほしかった。誰かに認めてほしかった。
そんなことは無いのかもしれない。
ワタシはもうワタシが分からない。いやでもわかる。
大丈夫だよ。
ワタシは世界を愛しているのだから。
間違えてなんかいない。
ワタシは正しい。

「雷暝さマ……?」

窓の外を眺めていたワタシの声を掛けてきたのはガーディアンだった。さっき殴った時の傷はまだ癒えていない。
いくら殴ってもいくらないがしろに扱ってもガーディアンはワタシから離れない。ワタシから受けるすべての行動を愛としてしか受け取ることができない。
そんなガーディアン本当にかわいい。
よけいなことを考えず、ただワタシしか居場所がないことを理解して自分を殺していく。
自分が死んでいく様を知らない。今もこうしているだけでガーディアンの意思は死んでいく。
いや、まだ生きているのかもしれない。
でもワタシに逆らうことができない時点でもうそれは死んでいると判断して良いのだ。

ガーディアンの薄い肩を抱きしめる。
ワタシの温もりを久々に感じてガーディアンが目を見開いた。
恐る恐る私の背中に手を回す。この行動をすると怒られることを知っているのに、諦めずに時々抱きしめるとこうやって抱きしめて返すのだ。今日は怒らないであげた。
ガーディアンのイヤーカフスが付いている耳に唇を寄せる。

窓の外には、ライアーたちが見えていた。
カーネイジ・マーマンと手を取り合ってことは意外だったが、予想外の展開があったって面白じゃないか。
ワタシは楽しければなんだっていい。

ワタシが勝つことはもう決まっているのだから。

「ガーディアン。そろそろゲームが始まるぞ。みんなで頑張ろうな。ゲームは楽しむことが義務なのだから」

ガーディアンはしっかりと頷いた。

胸が躍っている。
これだけ楽しみにしているのだから、期待を裏切るんじゃないぞ。

赤い嘘吐き。


〜つづく〜


四十八話目です。
そろそろそろそろ!