複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。【300話突破】 ( No.379 )
- 日時: 2013/06/09 14:50
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
113・The domain of contraindications.
もっとつらい物かと思っていた。意外にもそうではなかった。心が穏やかなのだ。穏やかにそして、怒りがにじんでいる。
ロムやヒダリの事だ。ロムやヒダリは一体何のために死んだんだ。私たちがかった。その理由で殺されるなんて。
ここのルールは分からない。
分からなかった。
もう少し、もう少しだけでも、世界の魔力が濃かったら。薄くなっていなかった。魔力を持ったロムが、もう少しだけ冷静にしていたなら。もう少しだけ、あのアンダープラネットとリンクしている状態が続き、魔術を多く繰り出すことができていたのなら。勝敗を分ける要素はとても小さい。だからわからなかった。信じていたけれど、分からなかった。
感情的になってしまうのはすごくわかる。私はバカで弱いから。
強い人というのは、ただ無心に処理に向かって生き残るために戦い、自分の意志や感情にあまり捕らわれない人の方が多い気がした。自分の意思を持っている人というのは強いけれど美しい。ただ強い人は、どこか不気味なのだ。
初めて見るジャンルだった。
二人の戦いは、まるで荒野を駆け抜けていくビーストの戦いだった。
「燕さん……」
彼がここに居る理由は私だろう。自分の利益ではないと思う。彼がここに来てくれるなんて思ってもみなかったので嬉かった。
早く帰りたいと言う気持ちが強くなっていく。
ライアー。
彼の表情は見ることができない。でもきっと、私と同じ気持ちで居てくれていると思う。
理由を、訊かないとな。私と一緒に居てくれる理由を。そして、この関係がいつまで続くのかという問題も。
なぜあの時、金ではなくて時間を要求したのか。今になっても理由は分からない。高価な武器を壊してしまって、普通なら怒って金を要求するのが普通なのに。
なんで。
考えたって仕方がない。私はここで祈り、信じるしかない。
彼の勝利を。
この願いが、レジルの死を願うことと同じことだとしても。
私は生き残らなければいけないのだ。私の命は、私だけのものではない。友人の命も含んでいるのだ。たくさんの死を踏み台にして私はここで呼吸をしている。
「私が扉で、パルさんが鍵……」
あの言葉の意味はなんなんだ。
赤い時代。レッドエイジ。そして私とパル。雷暝の狙い。全世界の、魔力の低下。
関連があるのか。
難しい話だ。頭の中が変な音で満ちて、何も考えられなくなる。
赤い時代は有名なんだそうだ。
でも、私は知らなかった。
その詳細をいまだに知らない。
なんでだ。
まるで、私が知ってはいけないみたいじゃないか。
〜つづく〜
百十三話目です。
長いよーーー。