複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.404 )
- 日時: 2013/10/03 20:53
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
124・Justification for existence rots.
見ていられなかった。どこか遠くに生きそうな燕が怖かった。脆くて、すぐに壊れてしまいそうで。あんな燕を見ていたくないと思った。
あのときと同じだったから。親方が死んだとき、rinが叫んだ時の反応と同じだったから。
燕のことはよく知らない。でも、優しい人だって、まっすぐな人だって知っている。こうして私を助けに来てくれた。
ありがとう。
同情なのか、なんなのかは分からないけれど。分かってしまったら、何かを認めることになってしまいそうだ。
名前を呼ばれた。
私はここに居るよ。大丈夫、いつだってこの世界に居る。私はこの世界に居たいよ。
お母さんとお父さんが居た世界。ライアーが居て、みんなが居る世界に居たい。
だから、早く助けて下さい。
欲望に素直になっても良いですか。私は早く、ここから出たいのだ。
雷暝なんかの側に居たくなんかない。
ここに居たら、腐ってしまう気がする。
「レジルさん! 私は絶対にここから出ます! 出て見せます! あなたは優しい人だから、もっと違う出会い方をしたかった! でも、ごめんなさい!」
私の自由のために、私の欲望のために、そのかけがえのない儚いきらびやかな命を、捨ててください。
そのためにあなたたちはここに居るのでしょう。雷暝の自由と欲望のために、貴方たちは咲き、枯れる花なのでしょう。
ここは狂ってる。
もう何度だって謝るから、だから私に自由を下さい。
おかしい。
人の命がこんなことで散っていくのは。
でも、彼らに死んでもらわないと私はここから出られないのなら。
ロム、ヒダリ。
彼らのことを多く語りたくはない。多く語るのは、ずっと一緒に居た、ガーディアンやレジルのやること。
大きく手を振った。
レジルは私を見上げていた。少しだけ、ほほ笑んでくれたように見えた。
滲んで見えにくかった。
そのあとに、深く頭を下げた。
私のために、これから命を落とす優しい君へ。
次回の出会いを期待して。
そのまま、座り込む。
そんな私の背中に、ぶっきらぼうなパルの掌が温もりを分け与えてくれる。
何も言わなかった。何も言われなかった。
ばかみたいだ。訳が分からなくなってくる。
私が居るのがいけないのですか。それでも私は生きたいから生き続けるよ。それではだめだっていう人が居るのかもしれないけれど。
誰かに求められて生きる、なんて難しくて。
誰かのために、生きるのをやめるなんて。これもまた難しいや。
うじうじこんなことを考えているなんて知られたら、ライアーに嫌われてしまいそうだ。
嫌われたら何で困るのかなんて、そんなの知らないけど。
〜つづく〜
百二十四話目です。
最近ダメダメですね。
文かいてないとだめですねやっぱり。