複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。 ( No.41 )
日時: 2012/05/10 21:45
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: yZ7ICI8F)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode


18・赤、反省する。


えー、今回は私の反省会としたいと思います。

なんて、誰に話しているんだ、私は。

まぁ、しょうがない。
私は今混乱している。
なんでかというと、あれだ。

私はバカをしでかした。

それはついさっきのことだ。
うん。
ライアーの言いつけを守らずに、外へ出た。
そしたらライアーが思っていた通り、かは分からないけれど麻薬を売っている人に、引っかかりかけた。

私はもう、なんなんだ。
どれだけバカなんだ。

というわけで大いに反省して、ベッドの上で体育座りをして脳内反省会を絶賛開催中。

何度目かのため息を吐き出す。

きっとあのお姉さんに助けられなければ、私はまんまとあのおじさんに嵌められて、薬に溺れる道に走っていたことだろう。

もう一度、ため息。

本当にバカなんだ私。
自覚していなかったわけではない。
きっと私はバカなんだろう、程度だ。
そりゃあ
「私はバカなんだ!」
なんて自信を持っていえる人なんて、居ないだろう。
いや、居るかもしれないけれど。

再びため息。

本当に嫌になる。
ライアーは私を心配してくれていたのだろう。
なんだかんだいって優しいし。

最後にしようと思ったため息を吐き出そうとした時、唐突にドアが開いた。

「…………」

ライアー、だ。
見えないけれど、きっとそう。

私は今凄く反省して、自己嫌悪に陥っているのだから、そっとしておいて欲しい。
だけど、そういう気遣いができない人だということは、分かっている。

「おい、行くぞ」

ライアーの声が私をせかす。

だけど、身体が動かない。
分かっている。
分かっている。
ハラダ・ファン・ゴ本社に行くんだ。
これも、わがまま。私の。

経験ないだろうか。
反省している時に人に話しかけられたけれど、気分が乗らなくて顔が中々上げられないって。
私今、それ。
こんな時にでもわがままなんて、どれだけ私はライアーに迷惑をかける気なんだ。

「……寝てんのか?」

ぎしぎしと近づいてくる足音。

それでも私は膝の上から顔を上げられない。

「……起きてんのか。おい、行くぞ」

何を根拠にいったのかは分からないけれど、私は確かに起きている。

ライアーの手が私のジャージの首元を掴んで、引っ張っている。

のびちゃうなぁ。

「……なんかあったのか」

すごいな、ライアーは。
分かるのかな。
まぁ、あきらかに落ち込んでますよって感じだし、誰にでも分かるものなのかな。

ライアーの手が私のジャージから離れたようだ。
少しホッとした。

と思ったら両耳の辺りに、同時にライアーの手が添えられて、ぐっと顔を上げさせられる。

びっくりした。
だって、顔を上げることを強要された時目の前にあったのはライアーの綺麗な顔だったから。
驚いて身を引こうとしたが、ライアーの両手がそれを許さない。

ライアーの薄い唇が動く。
何を言われるのだろうとドキドキしていた。

「このっ、我が儘バカ!」

また、びっくりした。

叫ばれたのは初めてだったか。
いつも静かに文句を言われるから。

「……なんか、あったのか?」

さっきより脅迫っぽい言葉。
だけど怖くなかった。

なんか、嬉しかった。
気遣われているんだなぁ、やっぱり。
自惚れかも知れないけれど。
まぁ、いいんだ。

「ごめんなさい。大丈夫です」

私の答えを聞くとライアーの両手が緩んだから、すり抜けてベッドから降りる。

なんか、元気がでた。
反省会って1人でするものじゃあないな。

「いきましょう」

私に続いてライアーもベッドから降りる。

そして二人で並んでホテルの階段を下りた。

「私って、バカなんです!!」

「知ってる」


〜つづく〜


十八話目です。
やばい、更新しなくてはと思ってノープランで書いたダメダメ回です。
ノープランってよくない。
なので短め。番外編のような物です。
またかよってね☆