複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を染める、その時は。参照200で目玉抉れた ( No.52 )
日時: 2012/05/11 20:17
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 1HHiytFf)


28・赤、走る。


私はコレでもかというくらい全力疾走していた。
あの場に私がいたって、何の解決にもならない。
そんなのは分かっている。
だけど今私はライアーがものすごく心配だった。

きっと大丈夫だ。
私のことをねらった彼は結構強いだろう。
女の勘。野生の勘。
ライアーが死ぬことは絶対ない。
なのになんで。
私はこんなにも動揺しているんだろう。
自分のことだけを考えて生活して居ればよかったのかもしれない。
今までは。
でも今は違う。
私は周りを見なければいけない。
私のせいで誰かが命を落とすかもしれない。
そんなのは嫌だ。
いっぱい、たくさんの人が笑っているのが良い。
泣いている顔がたくさん何て堪えられるはずがない。
だから私はライアーに迷惑はかけられない。
当然だ。
決まっている。
でも怖い。

私に何ができる?
今まで何も考えないで生きてきたっていうのに。
こんな地味で救いようがないくらいバカな私に、何が守れる?
ライアーの事を守ることなんて、本当にできる?
絶対に迷惑はかけないと言い切れる?
死んでいた。
死んでいた。
ライアーが助けてくれなければ、私の脳みそは今頃廊下にぶちまけられていただろう。
自分で気付けない。
全く気配を感じることができなかった。
ダメだ。
ダメだ。
こんなんじゃ。
ネガティブはいけない。
私らしくない。
ポジティブだ、ポジティブ。
レッツポジティブシンキング!
元気だ、私は元気、私ならできる。
平気だ。
これから先、きっと何もない。

私はどれ位走ったかは分からないけど、今まで直線だった廊下に右に曲がる道が現れた。
迷わずその先を見ると奥にエレベーターが見えた。
一階に戻るにはエレベーターに乗るしかないだろう。
会談の位置は知らないし、探している暇もない。
私は早くライアーの言ったとおり、外に逃げないといけない。

私はさっさと行こうと思った。

だが、見えてしまったのだ。
右に曲がる道じゃない、直線に伸びる廊下の50メートルくらい先に人影が。
影は2つ。
1人はしゃがんで、もう1人は立ってしゃがんでいる人に細長い物を向けている。
顔は確認できない。
どんな状況かもわからない。
でも私の足は動いていた。
だってしゃがんでいる人の髪が、金色に光り輝いているのが何とか確認できたから。


〜つづく〜


二十八話目です。
久しぶりの更新でしたか。
今、風邪を引いていて辛いです。
喉が、喉が痛い。