複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を(略)参照300で内臓が口から出てきた。 ( No.59 )
- 日時: 2012/05/12 21:29
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: WylDIAQ4)
35・赤の考え。3
ヤバイ。
コレはガチなほうでヤバイ。
ヤバイにガチも何もあるか、なんて言ってしまえばそれで終わりだが、コレはガチでヤバイ。
俺、ここで死ぬかもしれない。
赤女を庇って。そんなのは嫌だ。
でもアイツに死なれるのは凄く困るし、それだったら俺は深手を負っても良い。
だけど命まで差し出すことができるか?
ダメだ。
不可能なほうを考えるな。
可能性を信じろ。
俺がこんなにも考えているというのに、赤女は申し訳なさそうな表情を一応浮かべながら、のろのろと近寄ってきている。
いつ気付くだろう。
アスラが気付いた時が最後だろう。
何故かは知らないが、アスラは赤女に恨みを持っている。
大きな恨みだ。
分からない。想像もつかない。
アスラにもやはり人間らしいところがあるようだ。
それにしても、赤女が肩を貸している女は誰だ?
見たことないな。
俺は人の顔を憶えるのが苦手だから、忘れているだけかもしれないけれど、どこか出会ったことがあるかも。
しれない。
アレ? 本当に?
顔は伏せているから良く分からないけれど、何となく分かる。
赤女より頭は良さそうだ。
つまり。俺とアスラを間の前にして相当ビビッているだろう。
赤女はそういうところが微妙に鈍いから、分かっていないだろうが、ここには相当な量の殺気が充満している。
「……あ?」
アスラが間抜けな声を出した。
気がついたのだ。
自分の殺意を向けるべき相手が近寄ってきたことに、コイツは気がついた。
勘の良い奴だ。頭も良い。面倒な奴だ。
コイツに狙われているなんて、赤女はどれだけ大荷物なんだ。
やってられないと普段なら投げ出すが、黒髪と黒目を考えれば仕方ない。
アスラが振り返り、赤女の足が止まった。
金髪の女が顔を上げた。
結構な美人だった。
「ちっ……!」
「アスラ!!」
アスラが赤女に向かって走り出すのと、俺が舌打ちをしたのと、金髪女の青い目が見開かれたのは、同時だった。
後、他に同時だったのはおっさんが動いたことだけだ。
速くはなかった。
おっさんは決して速いわけではなかった。
でも赤女とアスラの間におっさんがわって入ることができたのは、かすかにアスラがスピードを落としたからだった。
じゃないとあんなの、アレだけ早いアスラの攻撃から赤女を守ることなんてできはしない。
例え俺でも。
俺でもってなんだよ。
俺、自分のこと過大評価しすぎだろ。
アホかよ。バカじゃねぇの。
全然弱いし、俺。
「行くぞっ!」
俺は弱いけれど頭まで弱いわけじゃあない。
だから俺は、あのおっさんが生み出してくれた一瞬の隙をついて、赤女の手を握って金髪女を担ぎ上げた。
金髪女は何やら抵抗しようとしていたが、気に留めないことにした。
きっと傷でも負っているんだろう。
あそこに残していったら赤女がうるさそうだしな。
でもアスラが躊躇うなんて。
やっぱり全然人間らしいじゃんか。
〜つづく〜
三十五話目です。
グダグダしているけれど後少しで一章完結!
頑張りますー。